図書館で自習しちゃダメなのは日本だけ? 海外は「勉強し放題」、禁止のルーツはまさかの大正時代

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この記事は「なぜ日本の図書館は「自習禁止」なのか コワーキング化する欧米・サードプレイス化する北欧と、100年続く「席取り」論争」の読みやすいダイジェスト版です。じっくり読みたい方はロング版はこちら

「自習はご遠慮ください」。日本の図書館ではおなじみの張り紙ですが、実はこれ、世界では少数派かもしれません。海外の図書館は自習OKどころか、Wi-Fiも電源もタダで使える「無料コワーキングスペース」になっているんです。

海外の図書館は「勉強し放題」だった

アメリカでは、図書館は昔から「民衆の大学」と呼ばれてきました。シアトルやニューヨークの公共図書館では、無料Wi-Fi・電源はもちろん、パソコンの貸し出しまで標準サービス。The New York Timesの記事や映画のストリーミングも図書館経由なら無料で楽しめます。小さな子ども連れで仕事ができる専用席を置く図書館まで登場していて、もはや「本を借りる場所」というより「タダで使えるオフィス」です。

シアトル公共図書館は2020年に本の延滞料まで廃止して、「誰でも公平に使える場所」への進化を加速中。ブルックリン公共図書館には「インフォメーション・コモンズ」というスペースがあり、ノートパソコンでの仕事から動画編集、会議室での勉強会まで、市民が思い思いに使い倒しています。

ヨーロッパも同じで、パリのフランス国立図書館は学生の試験勉強の定番スポット。ロンドンの大英図書館のカフェ周辺は、朝から晩までパソコンを広げてコーヒー片手に勉強する学生でにぎわっています。図書館で堂々と自習する、それが世界標準なんです。


日本の「自習禁止」、始まりは100年前

では、なぜ日本だけ自習に厳しいのでしょうか。ルーツはなんと大正時代。1921年の新聞投稿には「上野の図書館は朝6時ごろまでに行かないと入れない」と書かれています。受験生が席を埋め尽くしていたんですね。1960〜80年代の受験戦争期には、図書館を取り巻く学生の行列が新聞の風物詩になり、1989年には日本図書館協会が「席借りのみの自習は図書館の本質的機能ではない」と宣言するまでに至りました。

ちなみに1924年には文部省が「参考書を教科書代わりに使うな」という通達を出したほどで、勉強場所をめぐる攻防は筋金入りです。

ポイントは、勉強という行為が嫌われているわけではないこと。都会の図書館は席が圧倒的に足りず、本を読みに来た人が座れなくなるのを防ぐための苦肉の策なんです。広島市立図書館では今も中央図書館を除く12館が自習禁止ですが、席に余裕のある地方の図書館では、中高生専用の自習席を用意して歓迎するところも少なくありません。

自由なアメリカ、実はルールは激カラい

ただし、海外の「自由」にはウラがあります。ニューヨーク公共図書館では大型のかばんは持ち込み禁止。貴重書の閲覧室に入るときは、コートも傘もかばんも全部クロークに預けて、持ち物は図書館支給の透明袋に入れて持ち歩き、退出時には検査まであります。勉強はいくらでもどうぞ、でも資料とセキュリティは徹底管理。日本とは正反対の割り切り方です。

日本にも「勉強していい図書館」が増えている

その日本でも、いま変化が起きています。フィンランドの人気図書館「Oodi」のように、会話も子どもの声もOKという「家でも職場・学校でもない第3の居場所(サードプレイス)」型の図書館が世界的トレンドになり、東京の武蔵野プレイスはカフェのざわめきごと楽しむ設計で人気に。2022年開館の石川県立図書館は約500席、スマホで座席予約ができて、フタ付きの飲み物も持ち込みOK。本棚も「仕事を考える」「世界に飛び出す」といったテーマ別に並んでいて、勉強の合間に思わぬ1冊と出会える仕掛けまであります。

「図書館=自習禁止」という常識は、もう過去のものになりつつあります。勉強や作業の場所に困ったら、近くの新しい図書館をのぞいてみると、意外な穴場が見つかるかもしれませんよ。

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