ゴミ回収で年商4.5億円──10代で始めた兄弟が「AI丸投げ開発」で築いた会社

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米ボストンの兄弟が始めた不用品回収業が、2025年に年商300万ドル(約4.5億円)に到達。原動力は、高校生の従業員が「AI丸投げ」で作った自社アプリだった。

はじめに

不用品回収と、10代の若者と、AI。一見、何のつながりもなさそうな3つの言葉が、ひとつの会社の中で結びついている。

米国マサチューセッツ州、ボストン近郊で不用品回収業を営むJunk Teens。創業したのはカーク・マッキニー(22)とジェイコブ・マッキニー(21)の兄弟だ。2021年にトラック1台で始めたこの泥くさい商売は、2024年に副業として120万ドルを売り上げ、2025年には年商300万ドル、日本円でおよそ4億5000万円に達した。2026年には500万ドルを見込む。

急成長を支えたものの一つが、意外にもソフトウェアだった。しかも、専門のエンジニアが作ったものではない。基本的なIT知識しか持たない高校生の従業員が、AIに「丸投げ」して作り上げた自社アプリである。本稿では、泥と汗の現場ビジネスが、いかにしてAIを味方につけたのかを追う。

1 ダンプで拾ったスピーカーから始まった


始まりは、ごく小さなものだった。兄弟はゴミ処理場で見つけた再販できそうな品物を、フェイスブックのマーケットプレイスで売ることから商売を覚えた。なかには1000ドルの価値がついたスピーカーもあったという。拾ったものが金に変わる。その手応えが、事業の原点になった。

2021年、トラック1台でスタートしたJunk Teensは、いまやボストン近郊に加えてケープコッドやロードアイランドでも営業する。保有するトラックは8台、正社員は25人。年間およそ740万ポンド、3300トン以上の不用品を運び出す規模にまで育った。従業員の時給は、賃金と歩合、チップを合わせて平均25〜30ドル。夏場は取扱量がほぼ倍増し、ケープコッドの拠点だけで昨シーズンは35万ドルを稼いだ。

2 「バイブコーディング」で高校生が作った自社アプリ

この会社を語るうえで外せないのが、独自に開発したアプリだ。カークは、その作られ方をこう明かす。「うちのアプリは丸ごと、10代の若者が作ったんだ。高校生がフルのアプリを作れる時代なんだよ」。

使われたのは「バイブコーディング」と呼ばれる手法である。自然な言葉でAIに「こういうものが欲しい」と伝え、コードそのものはAIに書かせる。この会社では、Base44とChatGPTを使って画面の設計や使い勝手を組み立てた。プログラミングの専門教育を受けていない従業員でも、AIに指示を重ねることで、動くアプリを形にできたのだ。

そのアプリには、従業員ごとの成績を並べるランキング表、1時間あたりにいくら稼いだかを追う指標、そして成約率の分析機能が備わっている。現場で働くスタッフの動きが数字で見えるようになり、会社の運営はぐっと引き締まった。かつては数十万円、数百万円かけて外注していたようなツールを、社内の若者がAIとともに作ってしまう。ものづくりの敷居は、それほどまでに下がっている。

3 数字で見る成長

改めて、成長の軌跡を数字で振り返ろう。

売上・状況
2021年 トラック1台で創業
2024年 副業として120万ドル
2025年 年商300万ドル(約4.5億円)
2026年 500万ドルを見込む

副業として始めた商売が、わずか数年で本業と呼べる規模に化けた。派手なテック企業の話ではない。ゴミを運ぶという、どこにでもある泥くさい仕事が、これだけの数字を叩き出している点にこそ意味がある。

4 AIツールと仕組み化


成長を支えたのは、自社アプリだけではない。兄弟は、いくつもの外部ツールを組み合わせて会社を仕組み化してきた。顧客管理にはJobber、顧客データの管理にはGoHighLevel、従業員の管理にはConnecteamを使う。

集客の柱はSNSだ。スタッフにメタ社のスマートグラスやGoProで現場を撮影させる方法を体系化し、TikTokで21万3000人、インスタグラムで26万9000人、YouTubeで6万9000人のフォロワーを集めた。泥くさい現場の映像が、そのまま宣伝になる。

仕組み化は、兄弟自身の働き方も変えた。弟のジェイコブは、かつて1日12時間かけて配車のスケジュールを組んでいた。その役割を複数のポジションに分解し、長く勤める従業員を管理職に昇格させた。おかげでジェイコブは、目先の作業から離れ、仕組みづくりと人材育成に集中できるようになった。一人で抱え込むのをやめ、任せる。成長の裏には、その決断があった。

5 日本の会社員・副業志望者へ

ここからは記者の見立てだ。この話が示すのは、二つのことだと思う。

一つは、ものを作る敷居が本当に下がったということ。かつては専門家に頼むしかなかったアプリを、いまは基礎知識さえあればAIとともに作れる。現実世界のサービスと、AIで安く作ったソフトウェアを掛け合わせれば、小さな元手でも事業は回り始める。Junk Teensは、その生きた見本だ。

もう一つは、始めることの大切さである。弟のジェイコブは、若い起業家にこう助言する。「たとえ一生の仕事にならなくても、まず始めることだ。僕らは利益を狙うより、面白そうだからという理由で始めた」。兄のカークも、若い人材が大学以外の道を求めていると語る。完璧な計画を待つより、手を動かすほうが早い。

ただし、注意も要る。「AIで簡単に稼げる」とあおる情報商材の類には近づかないほうがよい。兄弟が示したのは、AIが魔法の杖だという話ではなく、地道な現場仕事にAIという道具を上手に組み合わせた、という現実的な成功だ。その順番を取り違えないことが肝心である。

AIと副業についてよくある質問

バイブコーディングとは何か

自然な言葉でAIに「こういうものが欲しい」と伝え、プログラムのコード自体はAIに書かせる開発手法を指す。Junk TeensではBase44とChatGPTを使い、専門教育を受けていない従業員でも画面設計や使い勝手を組み立て、動くアプリを作り上げた。

プログラミング未経験でもアプリは作れるのか

Junk Teensの事例では、基本的なIT知識しか持たない高校生の従業員が、AIを使って自社アプリを丸ごと作った。ランキング表や1時間あたりの稼ぎを追う指標、成約率の分析といった機能を備えている。ただし業務で使うには動作の検証やデータの扱いへの注意が欠かせない。

Junk Teensはどうやって売上を伸ばしたのか

ゴミ処理場で拾った品をフェイスブックで売ることから始め、トラック1台の創業から8台・正社員25人へ拡大した。自社アプリによる業務の見える化、Jobberなど外部ツールの活用、SNSでの集客、そして役割を分解して人に任せる仕組み化が、2025年の年商300万ドルを支えた。

副業として不用品回収は日本でも成り立つのか

米国の事例であり、日本で同じ数字が出る保証はない。日本で不用品回収を事業にする場合、一般廃棄物の収集運搬には自治体の許可が必要になるなど法的な制約があるため、始める前に許認可の要否を必ず確認したい。

AIで作ったアプリのリスクは何か

専門家の設計を経ていないため、動作の不具合やデータ管理上の欠陥が残る可能性がある。個人情報や決済に関わる機能を扱う場合は特に注意が必要で、重要な業務に使う前に検証を重ね、必要に応じて専門家の確認を受けるのが安全だ。

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