旅程表の作成は7割がAIに任せる。でも予約ボタンは半分しか押させない 旅行者が引いた線は、かなり正確だった

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旅程表の作成はAIに任せても、予約までは半分しか任せない。SkiftとMcKinseyの調査が示した線引きは合理的である。

1 数字が示した、はっきりした境界

Skift ResearchとMcKinsey & Companyが共同でまとめた報告書「Winning Hearts in an Age of Infinite Travel Choices」に、分かりやすい数字が並んでいる。

旅行者の71パーセントが、AIに最初のアイデアを出させることに抵抗がない。

ところが、航空券やホテルの予約を代わりにさせること、あるいは旅行中のトラブル対応を任せることになると、その割合は半分まで落ちる。

間の段階も出ている。選択肢を絞り込ませたり比較させたりすることには67パーセントが抵抗がない。調査の段階でAIを使っている人は34パーセント。全体として62パーセントが、AIによって旅行の計画が楽になったと答え、52パーセントが今後1年で使用が増えると見込んでいる。

つまり、AIは旅の入口では歓迎されているが、金が動く手前で止められている。

2 この線引きは、感情的な拒否ではない

同じ傾向は、Expediaが2026年4月に公表した「AIの信頼ギャップ」という調査でも出ていた。計画にはAIを使うが、予約は信頼できるブランドで行う、という構図である。

一見すると中途半端な態度に見えるが、実務的にはきわめて筋が通っている。

理由は、失敗したときの回復可能性にある。

旅程の案が的外れなら、捨てればいい。コストはゼロだ。ところが予約は違う。取り消し手数料が発生し、日付を間違えれば買い直しになり、乗り継ぎ時間が足りなければ旅程全体が崩れる。

そしてトラブル対応はもっと深刻だ。欠航、遅延、overbookingへの対処は、その場の交渉と判断が要る。誰が責任を持つのかが曖昧なまま任せられる作業ではない。


3 では、AIに旅程表を作らせるとき何を頼むべきか

調査が示した線に沿って考えると、頼むべき仕事の輪郭がはっきりする。

広げる作業は、丸ごと任せてよい

行き先の候補出し。その季節に行ける場所と行けない場所の整理。移動時間の概算。営業日や休館日の傾向。定番以外の選択肢の列挙。

このあたりは、間違っていても次の工程で気づけるし、人間がやると時間だけがかかる。

指示の出し方にはコツがある。「3日間の京都の旅程を作って」より、「京都に3日間、移動は公共交通のみ、1日に回るのは3か所まで、昼食の時間を毎日90分確保、という条件で候補を5案」のほうが使える答えが返る。条件を先に固定するほど、選択肢の質が上がる。

絞る作業は、半分だけ任せる

比較表を作らせるのは有効だ。移動時間、費用、混雑の目安を並べさせる。ただし、どれを選ぶかは自分で決める。ここを任せると、誰が行っても同じ旅程になるからだ。

確定と予約は、自分の手で行う

日付、便名、宿泊日数、取り消し条件。この4点は必ず自分の目で確認する。AIが作った旅程表をそのまま予約に流すと、1日ずれた日程がそのまま通ってしまう。

4 AIが作った旅程表で、いちばん多い失敗

実務的に頻発するのは、存在しない情報ではなく、古い情報と、詰め込みすぎである。

閉館した施設、変更された路線、終了したイベント。これらは学習時点の情報として自然な文章のまま出てくる。旅程表が完成したあと、施設名だけを公式サイトで検索して開いているかを確認する工程を入れると、ほとんど防げる。

もう一つが移動時間の楽観である。地図上の距離では近くても、乗り換えや待ち時間が入る。1日に回る場所の数を自分で上限として指定しておくのが最も簡単な対策になる。

5 旅行者は、すでに正しく使っている

この調査でもっとも興味深いのは、誰も教えていないのに、利用者が自然と適切な境界を引いていたことである。

取り返しがつく作業は任せる。取り返しがつかない作業は自分でやる。この線引きは、旅行に限らず、あらゆる領域でAIを使うときの基準としてそのまま通用する。

7割が入口を任せ、半分が出口で止まる。その差の分だけ、人間が判断を握っている。

よくある質問

旅行者はAIをどこまで使っているのか?

Skift ResearchとMcKinseyの調査によれば、71パーセントがAIに最初のアイデアを出させることに抵抗がなく、67パーセントが選択肢の絞り込みや比較を任せてよいと答えている。調査の段階でAIを使っている人は34パーセント、62パーセントが計画が楽になったと感じ、52パーセントが今後1年で使用が増えると見込んでいる。

なぜ予約だけは任せないのか?

失敗したときの回復可能性が違うためである。旅程の案が的外れでも捨てるだけで済むが、予約は取り消し手数料や買い直しが発生し、日付や乗り継ぎを誤れば旅程全体が崩れる。旅行中のトラブル対応はさらに交渉と判断が必要になる。Expediaの調査でも、計画にはAIを使い予約は信頼できるブランドで行うという同じ傾向が出ている。

AIに旅程表を作らせるとき、どう指示すればよいか?

条件を先に固定するほど質が上がる。行き先と日数だけを伝えるより、移動手段、1日に回る場所の上限、食事に確保したい時間などを指定し、複数案を出させるほうが使える答えが返る。絞り込みの比較表までは任せ、どれを選ぶかは自分で決めるとよい。

AIが作った旅程表でよくある失敗は?

作り話よりも、古い情報と詰め込みすぎが多い。閉館した施設や終了したイベントが自然な文章のまま出てくるため、完成後に施設名を公式サイトで確認する工程を入れると防げる。また移動時間を楽観的に見積もる傾向があるため、1日に回る場所の数を自分で上限として指定しておくとよい。

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