全宅連・全宅保証協会では、毎年9月23日を「不動産の日」と定め、消費者向けに、住居の居住志向及び購買等に関する意識調査を実施している。今回公表した、2021年9月23日~11月30日までに実施した調査結果(有効回答数2万3349件)を見ると、買い時について揺れている消費者の様子が見てとれる。
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)および公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)が、9月23日の「不動産の日」にちなんで、住宅の居住志向および購買等に関するアンケート調査を実施。今現在、不動産が買い時なのかどうかという、人心を反映した興味深い内容となっている。
この調査は2021年9月23日~11月30日までに実施したもので、有効回答数は2万3349件。時期で言うと東京オリンピックはすでに終了しており、新型コロナウイルス感染者数の減少により、9月末からは緊急事態宣言の前面解除がなされている。
いわば新型コロナウィルス流行が収束するのではないかという、楽観的なイメージが漂いはじめてきた頃だ。
しかし「いま、不動産は買い時だと思いますか?」という質問に対して、「買い時だと思う」は10.5%で6.8pt減少となり、過去最低水準となっている。「買い時だと思わない」は25.6%でほぼ横ばいの0.1pt増加、「分からない」が63.9%で6.6pt増加という結果となり、買い時感の薄いムードが見て取れる。
買い時だと思う理由のトップは「住宅ローン減税など住宅取得の為の⽀援制度が充実しているから 」で41.4%。次いで「不動産価値が安定または上昇しそうだから」で25.4%。
一方、買い時だと思わない理由のトップは「不動産価値(価格)が下落しそうだから 」で28.8%となり、「自分の収入が不安定または減少しているから」が26.5%と続いている。
全体的に観れば、コロナ禍にともなう社会経済活動の不確実性の高まりを感じざるを得ない結果と言えるだろう。そして新型コロナウイルスによる住み替えについても見てみよう。
新型コロナウイルスによる影響で「既に住み替えた」 が2.8%、「住み替えを検討した」が5.2%で、あわせて8.0%が住み替えを実施または検討していると回答。
検討・実施した居住形態では「持ち家から持ち家(新築)」が25.2%と最も⾼く、次いで「賃貸から賃貸」が21.1%と続く。また「賃貸から賃貸」が2020年度⽐+3.3ptで昨年と⽐べて最も増加し、「賃貸から持ち家(新築)」が-3.3ptで減少が⼀番多かった。
コロナ禍という大きなうねりが住み替えの新しい動機となっていることがわかる。
現在の緊迫するウクライナ情勢下では、3月18日に日銀の黒田総裁が日本経済や物価への影響については「きわめて不確実性が高い」とコメント。「資源の大半を輸入に頼っているため、エネルギーや食料品などを中心に物価は当面、はっきり上昇する」との見通しを示している。
そのように不確実性を増す社会の中で、人々の不安は高まる一方、金利や不動産価格の予測が難しいのが現状だ。しかし誰も予測ができない世界の中でも、子供が生まれたり、老いたりといったライフステージの変化は待ったなしで起こっていく。それだけに住宅や不動産を買うかどうかはその人のモチベーション、理由があるかどうかが、一番重要と言えるだろう。