今の中学生、ケンカに道具は「当然」? 半グレ化するティーンたち

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※画像は『WORST 33 (少年チャンピオン・コミックス) 』。
※画像は『WORST 33 (少年チャンピオン・コミックス) 』。
一昨年から今年にかけて、筆者は都内のいわゆる「不良」中学生たちの取材をしていたのだが、そこで驚いたのは「ケンカに道具は当たり前」ということだ。筆者は40代半ばで、学生時代はいきがっていたものの、ケンカはほとんどしたことがないヘタレ。とはいえ友人には暴走族が多く、彼らも他の族と抗争する時以外は、道具を使わなかった印象がある。

某私立中学校で「トップ」をはるSくん(15歳)は空手を子供の頃から習っているが、ケンカに道具を使用するのは当然だと語っていた。

「だって負けたくないじゃないですか。相手だって使うんだから、こっちだって使わなきゃあぶない。ヘタしたら死ぬかもしれないじゃないですか。スタンガンと催涙スプレーは去年、友達通じて、お年玉で買いましたね(笑)。とにかくなんでもいいから勝つ、むしろアイツらヤバいって伝説作った方がやりやすくなりますから」

Sくんは仲間にも、できればスタンガン、最低でも催涙スプレーは持つように薦めているという。ナイフなどの刃物は殺傷力が高いために「万一」を考えてしまう。それよりは相手を一発で無力化できるスタンガンの方が思い切って使えるとのことだ。

「根性だめしで一度自分にも使いましたが、死ぬかと思いました(苦笑)。俺らの仲間で裏切ったらスタンガンってことにしたら、誰も裏切らなくなりました。俺自身、ケツまくれなくなりましたからね」(Sくん)

また東京東部の複数の中学校のメンバーで構成される不良グループで「副リーダー」をつとめるTくん(14)、家族には芸能人がいるセレブなのだが、彼も道具派。彼の仲間たちも全員道具を持ち歩いているという。

「ネットで関東連合の人たちの伝説とか見ても、勝ったもんが正義じゃないですか。どんな手段を使っても勝ってきた関東連合とか怒羅権の方々には憧れますね。見立真一さんとか石元太一さんなんて超リスペクトしています、あの人たちはステゴロでも強いと思いますし。実際不良漫画みてもみんな道具使うのは当たり前、それで現実だけ道具無しっていうのは、そもそもおかしいんじゃないですかね」

とにかく負けたくないし、道具を使うのは必須というのがSくん、Tくんをはじめとする彼らの主張だ。10数人の中学生たちの取材をさせてもらったが、ほとんどの子供たちから同じような話を聞いた。ケンカに道具、この風潮が最近のものだというつもりはないが、それでもこの流れ、恐ろしさを感じてしまうところ。とはいえケンカなんかしない中学生の方がほとんどで、こんな話が関係ない子供たちの方が多いとは思うのだが。

とりあえず、オジサンは道の端っこを歩きますよ…。

文/田口純像