象の肉はこってり美味い アフリカの象食カルチャーと闇流通事情

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アフリカのジンバブエで、干ばつによる食料難に対応するため、ゾウ200頭を殺処分すると報じられました。ジンバブエは干ばつにより非常事態を宣言し、今後600万人が食料支援を必要としている状態です。

我々は一瞬「えっ」と思ってしまう象を食べるということ。しかし、アフリカやタイの一部地域など、象とともに暮らす地域では象食は文化として存在します。2015年、ジンバブエでムガベ大統領の91歳の誕生日を祝った際には、象料理が振る舞われていました。

アフリカの一部では象肉はブッシュミート(日本で言うところのジビエのような表現)として、違法に広く販売されており、この需要が密猟を助長しているという懸念も生じています。

象肉の需要

たとえば中央アフリカの4カ国では、象肉の需要が供給を上回っていることが調査で明らかになっています。都市部では象肉は高級品とされ、他の肉よりも闇で高値で取引されています。このため、密猟者は象牙だけでなく肉も目当てに象を狩るようになっています。また、軍や政府、ビジネス界に影響力を持つ裕福な人物が象狩りに資金を提供することもあり、密猟をさらに助長しています。

アフリカの象は、通常、体重が約2,300~2,700キログラム。象牙は約180ドル(2007年当時)で売れるのに対し、密猟者は象肉(約450キログラム)を最大6,000ドルで売ることができます。

2007年には、中央アフリカ共和国の首都バンギの市場で、象肉が1キログラムあたり12ドルで販売されていました。これは、密猟者が象牙を1キログラムあたり30ドルで売ることができた時期と同じです。この肉は、中央アフリカ共和国とコンゴ民主共和国の国境を越えて輸送され、販売されていました。国際法では違法ですが、両政府とも取引に税金を課していたといいます。

ただし実情としては、中央アフリカでは、象肉は主に狩猟者自身やその仲間内で消費されており、一部は燻製にして販売されています。燻製肉の販売は、狩猟者にとって重要な収入源となる可能性がありますが、象牙の取引ほど大きな収益にはならないとも考えられており、2010年の中央アフリカにおける象のブッシュミートに関する研究では、「象肉は密猟者にとって象を狩る重要な動機であるが、違法な象殺しの主な要因としては象牙に次ぐものである」と結論づけられています。

実際に、象が密猟されたにも関わらず、肉が全く利用されないケースがあることは、象肉の需要が必ずしも密猟の主な動機ではないことを示唆しています。しかし、象肉取引の存在は、密猟を助長する要因の一つであることは間違いありません。

他国と気になる象料理の味

また2012年、タイの野生生物当局は、象肉消費への新たな嗜好が象の生存を脅かす可能性があると懸念を表明しました。国立公園で2頭の象が屠殺されているのが発見され、タイの野生生物当局長官は、肉の一部が生で食べられたと指摘しています。

また宗教的タブーの観点からは、象食を禁じている宗教も多いです。

仏教では大品(マハーヴァッガ)において僧侶が象肉を食べることを禁じられていますし、ヒンズー教徒はまた、広く崇拝されているガネーシャ神の重要性から、象肉との接触を固く避けています。またユダヤ教も象食は禁じており、象はひずめが分かれておらず、反芻動物でもないから。イスラームも一部の研究者ではイスラム教徒が象を食べることは禁じられているとする者もいるそうです。

「EP#9 Elephant MEET Cooking 🐘ആന ഇറച്ചി പുഴുങ്ങിയത് ഓരോ പീസ് എടുക്കട്ടേ」より。

さて、気になるお味ですが、実は象の体は脂肪分が比較的多く、足の裏の肉球は特に脂肪が多い部位とのこと。

アレクサンドル・デュマの『Mon Dictionnaire de cuisine』ではロスチャイルド家のシェフ、デュグレレーズ氏のレシピが記されており、それによれば10時間も足を煮込み、インドのスパイスや青唐辛子を入れたスパイシーなものとなっています。このレシピ自体は植民地時代などの古いものですが、現在でもシチューやカレーのようなスパイスを使った煮込みで食べられることが多いようです。

さてあなたは食べてみたいですか? 園山俊二先生のギャートルズ、はじめ人間ゴン世代の私としてはちょっと気になるところです。