熊本地震から1年 地震発生を1週間前に予知できる WEBサービス『予知するアンテナ』とは? 地震予知の権威・早川正士教授に聞いてみた

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熊本地震から1年。現在も仮設住宅暮らしを余儀なくされている方は多く、熊本県内にはまだ大部分の瓦礫が残されているという。防災への意識が強まる昨今、大地震の発生を事前に知ることができたらどんなに助かるか。株式会社テンダが提供する予知するアンテナは、月額利用料500円(税別)で、そんな願いを具現化する配信サービスだ。地震発生を1週間前に予知できる精度と仕組み、活用法について、予知情報の提供者である日本地震予知学会 会長・国立電気通信大学 早川正士名誉教授に聞いた。

 

地震の発生は、ほぼ100%予知可能!?

「地震の短期予知とは、①いつ、②どこで、③どれ位の規模(マグニチュード)の地震が起こるのかを、地震発生の数週間前に観測データから予測すること。長らく「現在の研究では地震予知は不可能」と言われてきましたが、我々の研究によれば、実はかなりの精度でマグニチュード5以上の地震の発生を予知できるレベルにあるんです」

こう語るのは電気通信大学名誉教授である早川正士氏。世界に約200人と言われる地震予知の研究者のうち、日本で精力的に活動しているのが20人程。その中で権威と言われ、多数のメディア露出もこなす早川教授の研究成果が予知するアンテナのサービスの軸となっている。

 

「3つの要素のうち、まず①発生時期について言えば、1週間後の地震発生がほぼ100%的中可能。次に②発生場所ですが、これは現在国内5箇所に設置してあるVLF電波受信局を20箇所程度まで増やせれば、日本全域での予測精度が向上します。最後に、一番難しいのが③地震の規模を的中させること。マグニチュード5以上で、6なのか7なのか、この精度を上げるには、やはり受信局を増やすことと、マグニチュード6、7規模のサンプル数を増やす必要があります。これらの対策を行うことにより、地震を1週間前に予測する精度を100%に近づけることができます」

「実は、昨年の熊本地震も予知はできていました。2016年4月7日に予兆をとらえ、“4月13日~4月21日の間に、九州地方でマグニチュード最大5.5の地震が発生する”という予測を出していたのですが、震源が観測ラインから外れていたことにより、規模が小さく出て、実際の発生は4月14日に熊本でマグニチュード7となり、予測より大きな規模となりました」

 

早川教授が、地震の発生時期をほぼ的中できる仕組みとは? またVLF電波受信局が増えるとなぜ場所まで特定できるのか? その点をチェックしていこう。

 

『予知するアンテナ』が地震の予兆をとらえる仕組みとは?

早川教授のおよそ25年にわたる研究によって、マグニチュード5以上の地震が発生する約1週間前には、必ず上空の電波が乱れることが判明したという。『予知するアンテナ』はこの自然現象を計測することで地震を予知。地震が起きる/起きないで言えば、前述のとおりほぼ100%の精度で予知できる。

「両手で割り箸を2つに折るイメージを頭に思い浮かべてもらうといい。ゆっくり力を加えると割り箸が折れる直前にミシミシと軋みをあげ一気に割れる。地震のメカニズムもこれに似ており、地震発生の前に地面の奥深くで爆発前のエネルギーが軋みをあげ、その軋みが電離層にまで作用して電波を乱す。厳密にはもっと細かな作用の結果だが、わかりやすく言えばそういうこと(笑)」

電波が乱れるのがちょうど1週間前というのは自然界の作用であって、人間の都合ではない。しかし人間にとっても実にありがたい猶予期間だ。

 

「電波の乱れをキャッチする受信局を増やせば、場所を特定する精度が上がる。理論上は、VLF電波受信局をあと15箇所増設すれば日本全体をカバーできるはず。大地震がどこで起きるか、1週間前に予知できる時代がそこまで来ていると考えています。もちろん、受信局をもっと増やし、日本を網の目のようにカバーできれば、ピンポイントに震源を予測することも可能です」

 

1週間前に予知できると、なにができるか?

実際のところ、1週間後の予知ができたとしても、建物の倒壊や津波の発生を抑えられるわけではない。それでも、不意打ちを食らわずに済むのは大きなメリットだ。

地震発生が予想される期間はなるべく地下鉄の利用を避けたり、枕元に防災グッズを置いて就寝したり、家具をしっかりと固定し直したりするなど、地震に備える猶予があれば、パニックにならずに済む。家族で緊急時の集合場所や連絡手段をあらためて確認しておくのもいいだろう。

 

「何よりも、地震の緊急速報が出たときに事実の確認などしなくて、すぐに避難行動に移すことができる。これにより多くの命を救うことができると思います」

 

 これから『予知するアンテナ』ユーザーが増えれば、精度も上がる!

現在『予知するアンテナ』のサービス対象は関東エリアのみだが、「ユーザーが増えれば電波受信局の増設が可能になり、より高精度で位置を特定したり、他の地方までカバーしたりすることも可能になる」と、株式会社テンダの広報担当者は語る。

 

「2016年9月にサービスインして、現在約3000人にご利用頂いていますが、今年の9月までには1万人まで増やしたいですね。それでも東京都の人口の0.1%以下です。できるだけ多くの方に情報を配信して、地震発生時の減災につなげていきたいです。また、法人や自治体での利用も促進しBCP対策などで活用いただきたいと考えています。ぜひサイトを覗いてみてください。無料で読める、コラムをチェックするだけでもためになりますよ」

わずか500円で精度の高い地震予知ができることに、記者は純粋に驚いてしまった。ただ漫然といつ襲ってくるかわからない地震に怯えているしかなかった状況と比べれば、安い保険だと感じたが、どうだろうか。サービスへの登録および詳細は『予知するアンテナ』公式サイトにて。

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