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サッカーを「ハンドエッグ」と呼ぶ人たち 海外の”スポーツ冷笑ネタ”が秀逸すぎる…でも笑えない裏側もあった

この記事は「なぜ人はスポーツの熱狂を冷笑するのか 海外のネットミーム・反五輪運動・DV急増から読み解く「祭り」の裏側」の読みやすいダイジェスト版です。じっくり読みたい方はロング版はこちら

スポーツの一大イベントがあるたび、街も職場もその話題でもちきり。でも、そんな熱狂を「ちょっと引いた目」で見ている人、あなたのまわりにもいませんか。実はこの”冷めた層”、日本だけの存在ではありません。海外には、彼ら独特のユーモアあふれる文化から、ちょっと笑えない社会問題まで、思いのほか奥深い世界が広がっていました。


サッカーは「ハンドエッグ」? 海外の冷笑ネタがキレキレ

海外のネット民は、スポーツへの無関心をユーモアで表現します。その代表格が「Sportsball(スポーツボール)」。あらゆる球技をわざとごちゃまぜにして、「ボールを使う何か、でしょ?」ととぼけてみせる言葉です。

アメリカンフットボールを「Handegg(ハンドエッグ)」と呼ぶネタも有名です。「足(フット)じゃなくて手(ハンド)を使うし、ボールじゃなくて卵型(エッグ)でしょ」という皮肉で、しかもそのツッコミは1909年の新聞投書までさかのぼる由緒あるものなのだとか。

極めつきが「Superb Owl(素晴らしいフクロウ)」。NFLの「Super Bowl」の商標管理があまりに厳しいのを逆手に取り、わざと綴りを変えて、フクロウの画像を投稿し合う人たちがいるのです。平和なのかシュールなのか分からない、ゆるやかな抵抗運動として定着しています。

「にわか」は世界共通? 3つの呼び名

「にわかファン」への風当たりの強さも、どうやら万国共通のようです。海外では、強い時だけ応援する人を「バンドワゴン・ファン」、常勝クラブばかりを選んで応援する人を「グローリー・ハンター」、そして地元に住まずテレビやSNSでだけ応援する人を「プラスチック・ファン(=安っぽい偽物)」と呼んで区別します。

ただ、ここには皮肉なパラドックスもあります。いまのサッカー界の莫大な放映権収入を実際に支えているのは、まさにこの「プラスチック・ファン」と呼ばれる世界中のテレビ視聴者たち。”本物”を名乗る側の足元も、意外とあやういのかもしれません。

笑ってばかりもいられない、祭りの裏側


ここまでは笑い話ですが、海外の”冷笑”には、もっと切実な理由もあります。

たとえばイギリスの研究では、サッカーの主要大会の期間中、イングランド代表が勝つか引き分けると家庭内暴力(DV)が26%、負けるとなんと38%も増えるという衝撃的なデータが示されています。お酒と感情の高ぶりが引き金になるというのです。ちなみに「スーパーボウルの日にDVが最も増える」というアメリカの有名な説は、根拠のない”神話”だとして専門家に否定されています。

さらにオリンピックには、「NOlympics(ノーリンピックス)」という反対運動まで存在します。開催準備のために低所得者が住まいを追われ、警備が過剰になり、税金だけが吸い上げられていく。そんな構造への怒りが、東京やパリの活動家ともつながって、いま世界に広がっているのです。

熱狂そのものが暴走した例もあります。2021年、サッカー欧州選手権の決勝がロンドンで開かれた際には、チケットを持たない約2,000人が会場に押し寄せ、警備員に暴行を加えるなどの大混乱が発生しました。試合に敗れると、PKを外した黒人選手たちにSNSで人種差別の中傷が殺到する事態にもなりました。国の威信を賭けた盛り上がりは、時に一番みにくい部分をあぶり出してしまうのです。

そもそも、独裁的な国が大金を投じて有名クラブを買収したり大会を招致したりして、自国の人権問題から世界の目をそらす「スポーツウォッシング」という言葉も、近年よく聞かれるようになりました。熱狂は、それだけ強い力を持っているということでもあります。

熱狂は”社会の拡大鏡”

こうして海外の事例を並べてみると、スポーツの熱狂と冷笑の対立は、単なる「好き嫌い」では片づけられないことが見えてきます。そこには、格差や人種、ジェンダーといった、その社会がもともと抱えている問題が、くっきりと映し出されているのです。

次にやってくる大きな大会、あなたは熱く応援する派でしょうか。それとも、少し引いて眺める派でしょうか。どちらの立場でも、この”裏側”をちょっと知っておくだけで、お祭りの見え方が少し変わるかもしれません。

海外のネットミームから反五輪運動、選手の疲労問題まで、さらに深く知りたい方は、ぜひロング版ものぞいてみてください。

編集部: