知られざる魚たちの傷の直し方 ニチバン開催親子イベントで、海の生物のケガ治療から人間のケガを考える

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この夏に開催された中でも、とりわけユニークだったイベントといえば、8月3日(土)神奈川県の新江ノ島水族館にて開催された「親子で学ぼう!おさかなと人間の“ケガ”」だろう。同イベントは高性能絆創膏「ケアリーブ™」などで知られるニチバン株式会社によるもので、海の生き物のケガやキズの治療方法を学ぶことで、人間自身のケガへの理解を深めるというもの。

イベントが開催されたのは閉館後の夜の水族館で、「相模湾大水槽」の前という好ロケーション。目の前の水槽を実際の相模湾と同じ生き物たちが泳ぎ回る中でとなった。そしてセミナーに登壇し、「バンソウコウ先生」と名乗ったのはニチバンの事業戦略本部の倉智一氏。そして「お魚博士」と名乗ったのは新江ノ島水族館の展示飼育スタッフの杉村誠氏。

バンソウコウ先生こと倉智氏によれば、ケガをするとキズぐちから出てくる体液には、キズを早く治す成分が含まれており、それを使ったモイストヒーリングという治療ができるという。消毒はせず、水道水でしっかりキズぐちを洗った後、絆創膏で傷口を保護するという家庭でもできる方法だ。子どもたちだけではなく、頷きながら聞く親たちの姿も多く見られた。

そして興味深かったのは、お魚博士こと杉村氏による魚のケガの治療法だ。今回はウツボに嚙まれてケガをした「ムツ」の症例を元に、人間と同じ様に抗菌剤を筆で傷口に塗り、絆創膏のように蓋をするといった治療法を紹介した。消毒効果のあるアクリノールという薬を、筆を使って魚の傷口に塗る。そして魚自身の回復する力を活かして回復を待つという。

同時に、傷をおったムツはそのままでは食事を摂らなくなってしまうので、チューブに消化しやすいミンチ状のエサを入れ、直接口から胃にエサを送り込んだという。その結果として、回復のきざしが1ヶ月後には見られるようになり、40日後には体調が改善してきたので、一度治療を止め経過観察へと移行したという。

治療には手間も時間もかかるため、杉村氏も「根気が必要でした」と苦労を語る一方、そんなお魚博士を子どもたちは尊敬の眼差しで眺めていた。

続いてのトークセッションでは、「意外と知らない!身近にいる要注意な生き物」として、海や川遊びで気を付けてほしいことや、身近にいるケガに要注意な生き物を発表。

<気を付けたい危険な海の生き物たちBEST3>
第1位 ヒョウモンダコ
第2位 アンドンクラゲ
第3位 ウツボ

1位のヒョウモンダコは、関東の海にも出没し、唾液に猛毒のテトロドトキシンを含むことで知られている。うかつに手を出して、嚙まれると非常に危険なため注意が必要だ。また2位のアンドンクラゲは毒針を持っているクラゲ。お盆を過ぎると海中の温度がクラゲの生育を促進し、大量発生するために要注意だ。身近な海にも多様な危険生物がいるということに子どもたちは興味津々の様子だった。

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