一色萌のアイドル、色々。第20回 「アイドルと私の2019年」

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こんにちは。プログレアイドル・XOXO EXTREME(キスアンドハグ エクストリーム。通称・キスエク)の一色萌(ひいろ・もえ)です。

12月も半ばとなり、ぼちぼち年の瀬といった時期に差し掛かっている今日この頃。
皆さんいかがですか、年末気分、味わってますか?

私はというと、全くと言っていいほど年末の実感がありません。
昨年も同じようなことを言っていた(https://mogumogunews.com/2018/12/topic_25094/)ような気もしますが、今年はとにかく早かった。
1月1日から、一年が経った気が全くしないのです。
気分的にはまだ9月下旬くらいの感覚です。

5月に平成から令和へと元号が変わり、その際にも年越し的なお祭りのムーブメントがあったため一年の感覚が4ヶ月ほど後倒しになり、体感的に短く感じるのでは……という持論でなんとか周りを言いくるめようとしているのですが、どうも納得してもらえません。

そんなことを言っても、もう泣いても笑っても12月ということで、この連載も今年最後の更新となりました。
昨年の12月には2018年の総括的な記事を書いたので、今回もこの一年の印象を振り返ってみたいと思います。

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と言ってはみたものの、実のところ、私には2019年の記憶が断片的にしかありません。

1月から順番に思い出そうとしても出来事と時系列が一致せず、途切れ途切れにしか思い出せないのです。

その理由は明白で、何も記憶障害とか神経症とかそういう病的なことではなく、単純に一年間、みっちり忙殺されていたのでした。

私が所属しているキスエクでは今年、メンバーの増減や結成当初からグループを牽引してくれていたリーダーの卒業など体制の変化に加えて、自身最大規模のワンマンライブがあったり、初めてのフルアルバムとレコードをほぼ同時に発売したり……。
それに加えて個人的にも初めて舞台に出演させていただいたり、アイドルではない専門分野に深く精通している方とのトークイベントの機会を頂けたり、とても嬉しく光栄なお仕事を多く経験させていただけました。

書き並べていない様々な事柄も含めて、キスエクを応援してくれている皆さんもてんやわんやだったのではと思うほど、様々なトピックがぎゅっと濃縮されたような一年でした。

これまでしばしば、ライブを見にきたお客さんに
「キスエクは歩みがゆっくりだね。一歩一歩が重いから、そのぶん時間がかかるんだね。」
と評されることがありました。
全く別のタイミングで、全く別の人から何度かそう言われたものですから、客観的に自分たちはそう見えているんだなぁ、とその都度思っていました。
その言葉に対して特にプラスの印象もマイナスの印象も感じてはいませんでしたが、今年のグループの動きはその評価を蹴散らしたのではないかなと思います。

アイドル活動としては、今まで地道に積み重ねてきたものが一気に繋がったような、充実した一年を過ごすことができたように思うのですがその一方で、アイドル活動と並んで近年の私の二大ライフワークであったヲタク活動の方がすっかり疎かになってしまっていました。

私がアイドル・ヲタクになって以降、興味深く思って大切にしてきたアイドル界を俯瞰して見ようとする視点が、2019年においてはすっぽりと抜け落ちてしまっていることに気が付いたのです。

何かに熱中してヲタク的に突き詰めることは元々趣味の範疇ですから、何もそれが全うできなかったといって残念がることには全く意味がありません。
むしろ、「ヲタクをするために何かを愛好する」ような事態になってしまったら本末転倒です。

しかし人生のほとんどを趣味に没頭して過ごしてきた私にとって、自分の中のヲタク的気質の波はアイデンティに関わります。

特にアイドルを熱心に追いかけるようになって以降、こんなことは初めてのことのように思います。
自分が変わってしまったようで少し寂しい。
けれども、アイドルを好きな私が「アイドルを見る」こと以上に熱中できたことが「アイドルをする」ことだったというのは、なんとなく自分にとって嬉しいことのようにも思えるのです。

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そんなわけで、2019年のアイドル界に対しての私の印象は非常にぼんやりとしていて、アイドルをテーマに連載を書かせていただいている身としては非常に不甲斐ない具合です。

それでもあえて少し言葉にするならば。
多くの人々に知られる人気グループの解散や、キャリアの長い人気のアイドルさんの脱退・卒業などが連続した昨年度に引き続き、嬉しいニュースよりも悲しかったり、少し憂いてしまうようなニュースが多かったように感じます。

まぁ、良いことよりも悪いことの方が伝わりやすく印象に残りやすいといいますから、良いことの方が圧倒的に多い印象の年、なんてものは存在しないのかもしれません。

ですが、目に見えない大きな力が働いたかのように、同時多発的に気が滅入ってしまうようなニュースが続いた昨年度と比べると、全体の動きとしてはやや落ち着いた印象です。

2018年を振り返る記事内ではそこまで書きませんでしたが、昨年は誰が何をしてももうどうにもならないのではというような、アイドル界全体がなんとなく大きな悲壮感に包まれたように感じていました。
そう言い切ってしまうことで言霊が発動することを恐れたのかもしれません。
その気配を振り払うためにも、より一層自身のアイドル活動に力を入れていた面もありました。

なのでこれは私の個人的な感覚ですが、そんな昨年度を乗り越えて活動を続けてきたアイドルさんの解散や脱退の発表やその卒業理由には、より現実的で切実さが感じられるように思えました。

中でも特に衝撃を受けたのは、BILLIE IDLEさんの年内解散の報です。

2015年に活動を開始して以降、圧倒的な歌唱力に「ネオ80’s」という他にない音楽性、個性的なメンバーさんと、唯一無二の存在感を放ってきたBILLIE IDLE。
最近では元BiSでありBiSの象徴的な存在であったプー・ルイさんの電撃加入やファーストサマーウイカさんのドラマやバラエティーでの活躍など、いい風が吹いているような印象でした。

しかしプロデューサーのNIGOさんのBILLIE IDLE解散に際してのインタビューでは、「メンバーには何の不安はありませんでした」とする一方で、「会社的にこれ以上の活動を続けることが厳しいとの判断」をせざるを得ない状況であったということが明かされました。

いいメンバー、いいパフォーマンス、いい音楽。
良い・悪いの感覚は人それぞれであるとはいえ、私は実際にライブの会場でファンであるなしを問わず、彼女たちの歌に、ダンスに、キャラクターに、熱狂するたくさんの人々を見てきました。
にもかかわらず「事業として成立しなかった」という現実は、ビリ—アイドルさんのファンの中だけでなく、多くの人々に衝撃を与えたことと思います。

解散に至る決定打が経済的な事情だったとしても、現在のアイドル界において言えばBILLIE IDLEさんは決して勢いのないグループではありません。
メンバーさんもそれぞれの得意分野を伸ばしてのびのびと活動されているように見えました。

現在、アイドル界においてマイナビブリッツ赤坂でのワンマンライブをソールドアウトで行えるアイドルさんもそう多くないでしょう。

いい音楽があって、楽しくて、可愛い。
大ブレイクをしなかったとしても、そのアイドルをかけがえなく思うファンがいて、アイドルにとってもそこが幸せな場所であるならば、そんなあり方も悪くはないのでは−−−-多くのアイドルさんを見る中では、そんな考えがよぎることもあります。

しかし現実問題として、長く続けるためにはビジネスとして成立させなければならないということ。
アイドルもその例外ではないことを、改めて考えさせられました。

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先日、私は「アイドルシンギュラリティ!vol.2」というトークイベントに登壇させていただきました。
ご一緒させていただいたのは、アイドルグループRAY運営のみきれちゃんさん、SF作家の柴田勝家さん、科学文化作家の宮本道人さん。
第一回は日本SF大会の会場にて行われたもので、その際に出た「楽曲派アイドル」についての話題をもっと掘り下げてみよう!ということで企画されたものでした。

このイベントで私が印象に残ったのは、「中国での日本のアイドルに対する関心の高さ」や、「アイドルではないジャンルのファンへのアプローチ」など、日本国内のすでにあるアイドルのシーンから外へ視野を広げよう、という指向の話題が自然に広がったことです。

現状でどうこうしようということではなく、思い切って新しい環境や新しい要素を取り入れることが今、アイドルの世界には必要なのでは、という意識が、なんとなく全員の中に共通してあったのだと思います。

アイドルに限らずとも、自分のいいと思うものを長く続くものにするために、自分に何ができるのか。

直接的でなくとも、なにか力になることはできないだろうか。
そんなことを考える今日この頃です。

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私にとって今年は、今まででもっとも純度の高い、キスエクと一色萌のための一年でした。

そうであったことに悔いはないし、そうやって駆け抜けたと言い切れる自分は少し誇らしくも思います。
しかし、12月27日でキスエクも3周年を迎えます。
ということは私のアイドルとしてのキャリアも三年。
同じ時期にアイドルを始めた仲間たちも少しずつ数を減らし、とても新人とは言えない活動年数になってきました。

私はアイドルをできるだけ長く続けたいし、私の好きなアイドルさんにも長く続いていってほしい。
そのためにも、グループとしても個人としてももっと視野を広げて、アイドル界にとって希望となり得るような活動をしていけたらいいなと思います。
大層なことを言ってしまいましたが……来年もとにかく頑張りますということで。

それでは皆さま、よいお年を。

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一色 萌(ひいろ もえ)

ニックネーム:萌ちゃん、萌氏、誕生日:5月27日、出身:東京都、血液型:A型、趣味:アイドル研究、特技、アイドルについて話すこと

WALLOP放送局「キスエクのギュッと!プログレッシヴ!」レギュラー出演中(2018.4〜)

調布FM「キスエクのラジオ、キク!?」毎週月曜日19:00〜 レギュラー出演中

<一色公式Twitter> https://twitter.com/hiiro_moe

<公式Twitter> https://twitter.com/xoxo_extreme

<公式YouTubeチャンネル> https://www.youtube.com/channel/UCA7fn3DZFJGDmlxZZg8WQVA

<取材・オファー等> Email : contact@twelve-notes.com

【グループプロフィール】

XOXO EXTREME(キス・アンド・ハグ・エクストリーム 通称:キスエク)

一色 萌・小嶋 りん・浅水るり(研修生)の3名からなる、プログレッシヴ・ロック(略:プログレ)※をモチーフとした楽曲をパフォーマンスしているアイドル。
※特徴として、曲調がよく変わる・曲が長い・変拍子が多い、といった点が挙げられる。

2017年に、発売したシングル「えれFunと”女子”TALK〜笑う夜には象来る〜」に対して(キング・クリムゾン「エレファント・トーク」オマージュ)元キング・クリムゾンのエイドリアン・ブリューがその動画に「I like it!」とコメントで絶賛。

ライブ活動の他、ディスクユニオン新宿プログレ館で一日店員を務めたり、プログレファンの聖地である吉祥寺シルバーエレファントに、アイドルとして初出演。

2019年にフランスを代表するプログレバンドMAGMA公認カヴァー曲の「The Last Seven Minutes」を初披露。その動画がyoutubeにアップされると、カヴァーを公認したMAGMAが、公式Facebookで紹介したこともあり、一日で2000以上の再生数を得て話題になる。
翌2019年には、日本のプログレバンドの雄、金属恵比須とのコラボレーションで、90年代プログレを代表するスウェーデンのバンド、ANEKDOTENの「Nucleus」を公認カヴァー。

同年7月25日には2バンドを擁してのセカンドワンマンライヴを渋谷WWWにて行った。

都内を中心にライヴ活動を行なっており、プログレッシヴ・ロックを知っている人も知らない人も楽しめる、と好評を得ている。