若者の料理がマズいのは化学調味料を使わないから 「素材の味にこだわる」が悪影響

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※ラーメンの美味しさの半分は化学調味料でできている、そんな名言(迷言?)もあるほど。あの白い粉は重要な存在だ。
※ラーメンの美味しさの半分は化学調味料でできている、そんな名言(迷言?)もあるほど。あの白い粉は重要な存在だ。

自分の料理がまずいと嘆く若者たち

「うちの料理教室に通ってくる若い人が、自分の料理がマズイとなげくんですが、そりゃ当然ですよ。だって化学調味料を使ってないんですから」と、こともなげに言うのは、都内で料理教室の女性講師。

生徒たちの悩みを聞くと「料理がうすらマズイ」「味の輪郭がぼやけてる」「味が決まらない」といったものが多いという。そこでこの先生が「そういう時はね…化学調味料をちょこっと入れるのよ」と言うと、生徒たちはみんな顔をしかめるという。

みんなが『美味しんぼ』化している?

たしかに漫画『美味しんぼ』の海原雄山や山岡ではないが、我々としても化学調味料と聞くと、ちょっと後ろめたいものに感じてしまう。またラーメン屋などで料理を作っているのを見ていて、店員が大量の“白い粉”を投入すると、味もイマイチに感じることはある。

外食が美味いのは化学調味料使ってるから

「だけど、実際外食すればほとんどの店は化学調味料と濃い味付けで、店としての美味しさを出していますよね。それに中食、コンビニやスーパーの惣菜だって、それに近いものは使っているんですから、その味に慣れてしまえば、ふつうに作った食事はうすらマズく感じますよ(笑)」(前出・講師)

そうなのだ、外食や中食、他にも冷凍食品、レトルト食品などには、うま味調味料(最近は化学調味料とは言わずに、こう言う)がほとんど入っている。内容にアミノ酸などと書いてあるのがそうだ。だから味はパキッとして美味い。

マズけりゃ入れろ、美味けりゃ入れるな

さきの講師は、化学調味料の肯定派でも否定派でもないといい、基本的には「上手に使えばいい」というスタンス。この料理教室の生徒に話を聞いてみると

「でも素材の味を引き出せとか、料理の本には書いてあるじゃないですか。だから化学調味料と聞くと『えー』って思いますよね。でも家に帰って母に、先生にそんなこと言われたと言ったら『私もむっちゃ使ってる』と返された」(23歳 OL)

そうなのだ、昔の人(といったら失礼だが)たちは、漬物に化学調味料をぶっかけたりすることに躊躇はなく、それが独自のハッキリした味の輪郭をだしていた。だから、料理の初心者が「下手に素材の味とか言ってもまずくなるだけ。そうやって上達していくんですけどね(笑)。味が決まらなきゃちょっと入れて、美味しく仕上がってればいれなきゃいい」(講師)とのこと。

とはいえ、逆に言えば素材の味とやらは実際わからなくなっているわけで、なんとも言えない気持ちになる話だ。

※画像は編集部の感想をまじえたイメージです。
※画像は編集部の感想をまじえたイメージです。

※合わせて読んで頂きたい記事→『人気グルメ漫画で「化学調味料の魔術師」が「素材の魔術師」に完勝 その時、料理漫画史40年がゆらいだ!』
文/関本尚子