「トンカツ屋やもつ焼き屋の看板で、豚が『美味しいよ』とか言ってる看板、あれって猟奇的で異常ですよね」と指摘するのは、動物愛護NPOの女性メンバーNさん(27)。みなさんはこの意見についてどう思うだろうか?
■豚が笑顔で「早く食べて」という看板のエグさ
たしかに豚肉をはじめとする肉料理店で、そんな看板をみた経験はある。
ネット検索すると、笑顔の豚が「美味しい豚あります」と言っているものや、「ボクを使ったお肉料理です」と言っているものなどが見つかった。
■サイコパス看板は生命への畏怖がない?
前出のNさんは「鬼畜というか、サイコパス的なのでは。食材としてほふられた生命たちへの想像力が欠如しています」と続けていう。また、
「漫画の『GANTS』で人間が巨大宇宙人に食材として扱われてるのとか出てきますけど、たとえばそういう場面に、人間が笑顔で『美味しい人間あります』とか『私を使った煮込み料理です』とか、描いてあったらすごく異常な感じがすると思うんですよ」
たしかに自分たち人に置きかえてみると、かなりグロい。
■一方、日本には食材に感謝する文化も
そんな視点でみると、彼女が言う「異常」な飲食にまつわるものは多いのかも。なかには可愛い牛のキャラクターが牛焼肉をむさぼる共食いのCMなんていうのも。そんな一方、
「日本には昔から、料理に使われた生き物を供養する、塚や塔があります。たとえば品川の東京都中央卸売市場食肉市場には供養塔があり、生き物たちへの畏怖と感謝を感じます。また蛸塚、河豚塚なんていうのもある。そういう文化もあるんですよ」(グルメライター)
ライターは、食材となる動物がキャラクターとして使われるのは、狩猟文化におけるトロフィー(海外の家で飾ってある鹿の首とか)的であり、海外からの影響が強いのではないかと指摘。
■哀しい顔をされても食べられない
ともかく豚のキャラ「美味しいよ」などと言わせているのは違和感があるが、かといって哀しい顔でもされていたら食べる気はなくなってしまうから、難しいところ。
Nさんはサイコパスと非難するが、実際には食品パッケージにその素材となった生き物のキャラが描かているのは定番。私たちも、子供の頃からそれを受け入れてきた。それだけに馴れすぎ、無意識にそういった行動をしてしまっているだけというのが実態なのでは。
だからNさんの言うことに理を感じるものの、すべてを「サイコパス的」とするのも違うだろう。
みなさんは、豚がニッコリ「美味しいよ」と言ってる看板、変だと思いますか、OKだと思いますか?
文/高野景子