パナソニックのビストロ最上位機が示した「鶏もも肉のアルデンテ」、家庭調理にやってきた美食の最前線

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上段で鶏肉、下段でスープ。メインと汁物が1人分から同時に仕上がるスチームオーブンレンジ。パナソニックが2026年6月上旬、ビストロの最上位機NE-UBS10Eを発売する。


2026年6月上旬発売のスチームオーブンレンジ、ビストロ最上位機NE-UBS10E。ブラックの本体。

5月27日に開かれた新製品体験セッションでは、料理家の栗原心平さんがゲストとして登壇し、新機能「おまかせグリル&スープ」を実演した。鶏肉のシュクメルリ風グリルと刻み野菜のスープを、約30分で並行調理し会場を沸かせた。


体験セッションに登壇し、新機能「おまかせグリル&スープ」を実演する料理家の栗原心平さん。

ビストロの最新機種を前に、栗原さんからは電子レンジ観そのものを更新する発言「もう温めるだけの機器ではない。火を通すための調理器として使える」も飛び出した。栗原さんは、丁寧に作っても仕上がりがほとんど変わらない工程は機器に任せ、味を左右する部分にこそ手間をかければいいとコメント。「ボタン一つで誰が作っても同じ精度で仕上がる」点を評価し、プロが家電のおまかせ調理に頼ることへの抵抗を問われると「全くない」と即答した。

進化したフライ機能にも触れている。ビストロの最上位機NE-UBS10Eが、市販の調理済み冷凍フライまで対応するようになった点について、「作り置きの概念が変わる」とした。揚げてから冷凍するのではなく、自宅で作って揚げる前の状態で冷凍ストックし、食べるときにこの機能で仕上げる。弁当用のおかずや忙しい朝の段取りまで変わってくる、という見立てだ。


独自のヒートグリル皿で焼き上がった鶏肉のシュクメルリ風グリル。上段で焼き、下段でスープを並行調理する。

新しい美味さ、料理科学の最先端

筆者も体験セッションで、栗原さんが考案、ビストロが調理した「鶏肉のシュクメルリ風グリル」を実食。


完成した鶏肉のシュクメルリ風グリルと、刻み野菜のスープ。一皿で主菜と汁物が同時に揃う。

鶏もも肉は厚みがあり、火入れが難しい。家のガスレンジで肉汁を持たせたままフンワリ感を狙うと中に赤いところが残る、かといってしっかり火を入れるとパサつく、というのが定番の悩みだ。この日の鶏肉は、表現するなら「鶏もも肉のアルデンテ」だった。芯まで通っているのに、繊維がほどけるような弾力と肉汁が残っている。

一方で同席者からは、付け合わせのジャガイモがシャッキリしすぎているという声も。しかし筆者にとっては、新ジャガの食感が鶏の絶妙な火入れとよいコントラストとなり、むしろ面白いと感じた。

ここから先は私見だ。ガスレンジ、IH、レンジ加熱という火入れの土台に、炒め、揚げ、蒸しといったレイヤーが乗って料理は決まる。ビストロが見せたのは、そのどれとも違う「ビストロスタイル」と呼ぶべき仕上がりではないか。

少し褒めすぎかもしれないが、家庭の調理に新しい食の語彙が加わる可能性を感じた。フェラン・アドリアのエル・ブジが切り開いた分子ガストロノミー以降、世界の最先端ファインダイニングはスーヴィードや低温調理を使い、肉の繊維を壊さず質感そのものを設計してきた。

ヘストン・ブルメンタールのザ・ファット・ダック、コペンハーゲンのノーマ、日本ではナリサワやレフェルヴェソンスといった店が、「口中のアート」とも言われる調理科学に基づいた調理法を確立。そんな美食の前線が存在するのだ。

ましてやビストロは調理家電のトップ企業が開発した最新製品。調理科学を煮詰め、その独自の「料理表現」を完成させているなら、それは便利な調理家電どころの代物ではない。マーケティング上「便利で美味しく」に着地させているが、ユーザーが体験できるその味は、美食の最前線の可能性がある。

今回実食した鶏肉のグリルは、確実に美味かった、そして既存の調理とはどこか違う、新しい美味しさの地平を、ちょっと感じてしまったのだ(大げさで言い過ぎかも知れないが、料理をするのが好きな人がビストロで調理したものを食べたなら、このニュアンスをわかってくれると思う)。

レシピに縛られない調理への転換


独自のヒートグリル皿と20通りの加熱プログラム、スチームの組み合わせが新機能の中核。皿の裏側がマイクロ波で発熱する仕組みだ。

今回の新機能の中核は、独自のヒートグリル皿と、食材の状態に応じた20通りの加熱プログラム、そしてスチームの組み合わせだ。皿の裏側がマイクロ波で発熱する仕組みで、上段のグリルと下段のスープを並行して加熱する。1人分から対応できるのも嬉しいところ。

調理ソフトの開発拠点Panasonic Cooking@Labの明石英子さんは、20年で最大のブレイクスルーを「レシピに縛られない調理への転換」と位置づけた。単にメニューを増やしたのではなく、食材の状態や量の違いを踏まえて失敗なく仕上げる加熱制御への転換だ、と説明する。また商品企画の安井麻衣さんは、次の10年について「家庭の食を支えるパートナー、家族の一員のような存在を目指したい」と語った。設置体積は初代と比べ約68%まで小型化し、累計出荷は381万台に達している。


NE-UBS10Eのカラーはブラックとオフホワイトの2色展開。価格はオープン。

NE-UBS10Eのカラーはブラックとオフホワイトの2色。価格はオープン。便利で美味しい家電という枠の外側にもう一歩踏み出した、注目の一台だ。

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