古代のミードから禁酒法時代のスクリュードライバーまで、5つの時代をノンアルコールのカクテルで巡る。そんな体験型展示「タイムトラベル展 一杯から始まる、時代の旅」が、5月13日から31日まで表参道の体験型店舗「SUMADORI Meets」で開かれる。
企画したのは跡見学園女子大学・中西哲准教授ゼミの学生たちだ。スマドリ株式会社(東京都墨田区、アサヒビールと電通デジタルの合弁会社)が渋谷未来デザイン、渋谷区とともに進める「渋谷スマートドリンキングプロジェクト」の一環として開催される。

「お酒の歴史を感じたことがない」7割の戸惑いから
企画の出発点は、学生たち自身による調査だった。約70%が「お酒に歴史的背景を感じたことがない」と答え、約90%が「自分にピッタリな飲み方を探してみたい」と回答した。歴史に触れる機会が乏しい一方で、自分なりの楽しみ方は探りたい。そんな等身大の関心が浮かび上がった。
学生たちが着目したのは「人類は時代に合わせてお酒との関わり方を自由に変えてきた」という視点だった。価値観は絶対的なものではなく、常に揺らぎ続けるもの。その認識を、展示全体の軸に置いている。発表会では「飲むか飲まないかではなく、どのように関わるかを一人一人が選べる」ことに意味がある、と学生たちは説明した。スマートドリンキングを規範や知識として教えるのではなく、選択の自由として体感してもらう設計だ。
5つの時代、3つの「ミーツ」体験
展示は3部構成で組まれている。最初の「Meet the History」では、古代、中世、大航海時代、江戸時代、禁酒法時代という5つの時代をたどり、それぞれの環境で人々がどうお酒と付き合ってきたかを学ぶ。続く「Meet the Cocktail」では、各時代をイメージしたノンアルコールカクテルを味わう。最後の「Meet Your Style」では、自分の飲み方を「飲み方ボード」に言語化し、持ち帰ることができる。
カクテルは全5種類で、いずれも900円。最古のお酒とされるミードを再現した「ミード・スピリッツ」(古代)、コーヒーでコクを加えた「グリューワイン」(中世)、ノンアルコールアブサンのハーブ感をアクセントにした「ダーク・アンド・ストーミー」(大航海時代)、梅とストロベリーで百花繚乱を表現した「プラムソーダ」(江戸時代)、シガーを模した菓子を添えた「スクリュードライバー」(禁酒法時代)が揃う。



学生たちが特にこだわったのは、味だけではない。「グラスの形状、色、質感など、その時代の没入感」を一杯ごとに作り込んだ、と学生たちは発表で説明した。実際に手に取ったとき、当時の人がどんな気持ちで一杯を口に運んだのか、想像が広がる作りを目指したという。
認知から実践へ、5年目の渋谷スマドリ

渋谷スマートドリンキングプロジェクトは、2021年のSOCIAL INNOVATION WEEKをきっかけに始まり、今年で5年目に入った。スマドリ取締役の元田濟氏によれば、スマートドリンキングの認知率は全国で約50%、20〜30代では60%に達した。フェーズは「認知」から「実践」へと移りつつあり、今年2月には松本市でも同様のプロジェクトが立ち上がった。「ミーツのようなコンセプトが、5年後には全国に広がっている状態にしたい」と元田氏は語る。
学生の発想を生かす側の姿勢について、渋谷未来デザイン理事・事務局長の長田新子氏は「学生さんたち自身の視点をすごく大事にしたい。我々の発想ではできないことを、彼女たちの発想を潰さないように、一緒に形にしている」と話した。
渋谷区の松澤香副区長は、発表会でこう述べた。「生成AIの進展で、知りたいことはすぐに調べられる時代になった。AIの壁打ちもすぐできる。だからこそ、人と人がミーツで出会うことで生まれる化学反応、論理的に調べていくのとは違う新しいアイデアは、人と人の出会いでしか生まれない」。店名の「Meets」に重ねる形で、対面の場の意義を語った。
ゼミの学生リーダーは、質疑応答でこう語った。「社会に出ればお酒は切り離せないもの。これからの時代を担う私たち世代にとって、スマドリの考え方は身近なものになっていかなければならない」。歴史を巡る一杯の旅は、5月31日まで続く。
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タイトル: タイムトラベル展 〜一杯から始まる、時代の旅〜
会場: SUMADORI Meets(スマドリミーツ)/東京都渋谷区神宮前4丁目11-6 プレファス表参道 2F
期間: 2026年5月13日(水)〜2026年5月31日(日)
営業時間: 火〜木 12:00〜20:00(L.O. 19:30)/金〜日 12:00〜23:00(L.O. 22:00)


