KDDI傘下Supershipが14兆円狙う市場とは「Syn.」構想の失敗に学びデータ活用

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10月11日、KDDI傘下のSupershipホールディングスが事業戦略説明会を開催。ビッグデータ分析や中国大手EC企業との連携など行い、合計14兆円規模の市場に挑戦するという。また既存のDSP(Demand-Side Platform)、SSP(Supply-Side Platform)事業の拡充も続けていく。

Supershipホールディングスは、前身の「Syn.(シンドット)ホールディングス」時代、スマホ時代の“中心のない”ポータル「Syn.」構想を掲げ、「音楽ナタリー」などを運営するナタリーや、ハウツー情報サイト「nanapi」を運営するnanapi、などを買収したことでも知られている。

しかし「売り上げやユーザーの獲得は期待通りにはいかなかった」(森岡康一社長)として、Supershipは今年7月にSyn.のサービスを終了。

「Syn.構想は大きなものだったが、サービスを提供する各社の足並みがそろわず、構想が先走りしてしまった。その結果ユーザーをあまり獲得できなかった」(同前)、その一方「失敗から得るものもあった。そのような意味では良いチャレンジだった」という。

その失敗から得たものが「データを中心とした事業」。経営陣は、Supershipホールディングスを「Data Technology Company」として成長させていく方針を固めたという。

今後はSupershipグループが持つデータの活用などを軸に事業を展開、以下の3本の柱で構成するという。

1本目が「デジタルマーケティング強化」。データサイエンス事業を行うDATUM STUDIOを連結子会社化して同事業を強化する他、パートナー企業と連携して広告配信プラットフォームの海外進出も強化。DSP事業は年平均成長率が49%、SSP事業は78%を記録し、まだまだ成長の余地があるという。

そして2本目が「データプラットフォーム構築」。顧客企業、Supership、さらに他業種のデータを統合整形して利用可能なものにしたサービス「Fortuna」(フォーチュナ)も提供する。

3本目は「デジタル広告事業の海外展開」。中国のパブリッククラウドサービス事業者であるJD Cloudと提携を結び、アドプラットフォームの展開を目指していく。JD Cloudは中国のEC市場で第2位のシェアを誇るJD.comの子会社。中国のデジタル広告市場は6.9兆円規模であることを考えるとその伸びしろは大きい。

またVR(仮想現実)空間でライブやスポーツ観戦が楽しめるプラットフォーム「XRstadium」(エックスアールスタジアム)の提供などを通じてVR事業も推進するとした。

これらデータを主軸にしたビジネスについて、森岡社長は「石油から燃料だけでなくいろいろな製品が生み出されるように、『未来の石油』であるデータからいろいろな事業が生まれると考えている。足掛かりを作ってさまざまな分野に挑戦していきたい」と語った。