クラシックの楽しさに「めざめて」もらうべく、楽しいトークとともに音楽の魅力を伝え続けて20年。合計300回以上の公演を重ねてきた、フジテレビアナウンサーの軽部真一氏とヴァイオリニスト高嶋ちさ子氏がプロデュースするクラシックコンサート『めざましクラシックス』(通称『めざクラ』)。今夏、2017年7月27日~30日に大規模なクラシック・フェスティバルを開催することを東京・お台場のフジテレビ本社にて3月1日発表。お堅いクラシックのイメージとは真逆で記者も思わず笑顔になってしまった当日の模様をお届けする。
軽部氏と高嶋氏2人の出会いから始まった『めざクラ』。20年の歴史とその特徴は?
会見は『めざクラ』の歴史を振り返る映像よりスタートした。フジテレビ朝の情報番組『めざましテレビ』の顔として人気の軽部真一アナウンサーと、ヴァイオリニストにして舌鋒の鋭さでも話題になる高嶋ちさ子氏は、番組の取材をきっかけに意気投合。高嶋氏は当時から「将来(ライブで)コントがやりたい」と発言するなど、従来の公演の形にとらわれることなく身近にクラシックを楽しめるようにというコンセプトに基づいて、第1回公演は1997年9月に開催された。
クラシックの楽しさにめざめてほしい、最後まで眠ることなく公演を楽しんでほしい、そしてきっかけとなった『めざましテレビ』の意味が込められた『めざましクラシックス』。そのため初回からしばらく2人はパジャマ姿が衣装となっていた。ジャンルにとらわれることなく幅広い分野のアーティストとコラボをするなど人気を獲得。当初は3回をめざしていた公演は定期開催へ発展し、2000年には全国公演もスタートした。20年の歩みを振り返った軽部氏は「たくさんのゲストの方に出て頂けたすごい20年だった」とコメント。
『めざクラ』の最大の特徴にして魅力でもある2人の軽妙なトークは、さっそく会見でも飛び出した。「最近また高嶋さんは検索ワードで急上昇していますが、去年の今頃だったら(「ゲーム機バキバキ事件」の影響で)もっとたくさんの記者の方に来て頂けたかもしれません」と軽部氏。
「その時は傷心でおとなしかったんですが、炎上した書き込みはすべて軽部さんだったのでは?」という高嶋氏の返しに場内からは笑いが巻き起こる。
記者も思わず笑ってしまい、一気に2人の雰囲気に引き込まれていった。
思い入れのある公演について尋ねられた高嶋氏は、「全部思い出せるんですけど、だいたい軽部さんが絡んでるんです。(『TUBE』でヴォーカルを務める)前田亘輝さんが歌われるときに、軽部さんが一緒に歌いたい気持ちが強すぎて自分が歌えるキーに下げさせたんですよ!」と振り返る。軽部氏は冷静に「よくTVでもおっしゃっているんですけど、ちょっと違うのは、前田さんの方から下げてもいいよと言ってくれたんです」と返すが、すぐに高嶋氏より「似たようなもんじゃない!」とツッコミが入る。漫才の掛け合いのようにキレ味するどいやり取りに、会場内から常に笑いが起きていたのがとても印象的だ。
ちなみに司会進行はフジテレビの新人アナ、堤 礼実(つつみ れいみ)氏が務めた。
20周年記念公演『サマーフェスティバル2017』の詳細&豪華ゲストが発表!
いつまでも応酬が続けられそうなトークだったが、2014年より『めざクラ』の新たな顔として参加している松本蘭氏も登壇。
高嶋ちさ子氏の妹分であり同じくヴァイオリニストとして活躍している松本氏も加わり、新機軸を打ち出したことでマンネリ化することなく続いてきた『めざクラ』の公演。いよいよ20周年を記念した『サマーフェスティバル2017』の豪華ゲストとラインナップが発表されることに。
フジテレビジョン、キョードー東京、ジェイ・ツーが主催となり、特別協賛に株式会社ブルボンが名を連ねる『ブルボンPresents 20th Anniversary めざましクラシックス サマーフェスティバル 2017』は、7月27日より東京芸術劇場にて4日間5公演を開催。
ゲストとして元オフコースの小田和正氏、元チェッカーズの藤井フミヤ氏、元プリンセス プリンセスの岸谷香氏(旧姓・奥居)、俳優・歌手の山崎育三郎氏、ギタリストの押尾コータロー氏、フラメンコギタリストの沖仁氏、ヴァイオリニストの三浦文彰氏ら各界からアーティストが参加する。「クラシック×ポップス」をうたう『めざクラ』にふさわしいラインナップといえるだろう。
松本氏と高嶋氏によるヴァイオリンの生演奏も披露。
さきほどまで笑いにあふれていた会場には、ディズニーの名作アニメーション『ピノキオ』の主題歌として有名な『星に願いを』の音色が響き、記者もしばし聞き入る。発言内容や容姿に注目が集まりがちな両氏であるが、ヴァイオリニストとしての実力は確かなものであることが実感できた。
5月には『めざクラ』20周年記念CDアルバムも発売!
会見の最後に軽部氏は、「いろんなジャンルの音楽の中で、クラシックは美しさや迫力や楽しさが詰まっていると思います。しかしなぜか敷居が高いイメージがあるので、親しみやすい楽曲を選曲したり長い楽曲をあえて短くしたりしています。(クラシックからポップスを)全部一緒に初心者から詳しい人まで、楽しいトークとともに楽しめるようなコンサートを提供してきているので、ぜひお子さんにも聞いて欲しいです」とコメント。
高嶋氏は「楽器は遠い目標に向かって毎日毎日コツコツ練習しなければいけないので挫折してしまうことが多いのですが、『めざクラ』で楽しいものだと思ってもらって、いつか自分もこの舞台に立ちたいと思ってもらえると嬉しいです」と音楽に対する情熱あふれる発言をした。
会見ではさらに20周年記念アルバムとして『めざましクラシックス with フレンズ~20th Anniversary~』(仮)が5月24日にリリースされることも発表。鈴木雅之氏の『夢で逢えたら』、平原綾香氏の『You Raise Me Up』、藤井フミヤ氏の『Another Orion』など、幅広い年代の人が楽しめる楽曲とアーティストがレーベルの垣根を越えて参加している。まさに『めざクラ』が積み上げてきた歴史と、真摯な音楽への向き合いがあってこその一枚になりそうだ。