「あの人、クールだよね」——誰もが一度は口にしたり、あるいはそう言われたいと願ったりしたことがある「クール」という言葉。しかし、その正体は一体何なのでしょうか。親切さや誠実さを表す「良い人」とは、何が違うのでしょうか?
この長年の疑問に、科学の光が当てられました。アリゾナ大学などが参加した国際研究チームが、世界12カ国、5,943人を対象とした大規模な調査を実施。その結果、「クールな人」と見なされる人物には、文化や国境を越えて共通する6つの特徴があることが明らかになりました。
「クール」と「良い人」は違う。世界が認める6つの資質
研究では、人々が「クールな人」と「良い人」をどのような性格的特徴と結びつけているかを分析しました。その結果、両者には重なる部分もあるものの、決定的な違いがあることが判明しました。
特に「クールさ」を際立たせていたのは、以下の6つの特徴です。
1. 外向的 (Extraverted):人との交流を楽しみ、社交的である。
2. 快楽主義的 (Hedonistic):人生の楽しみや喜びを追求する。
3. パワフル (Powerful):影響力や存在感がある。
4. 冒険好き (Adventurous):新しい経験や刺激を求める。
5. オープン (Open):新しい考え方や文化に開かれている。
6. 自律的 (Autonomous):他人の意見に流されず、自分の意志で行動する。
一方で、「良い人」は誠実、穏やか、協調的、伝統を重んじるといった特徴と強く結びついていました。つまり、「クール」とは、単なる「良い」の上位互換ではなく、独自の価値を持つ、まったく別の概念だったのです。
驚くべきは、この「クールな6つの特徴」が、アメリカ、ドイツ、スペインといった欧米文化圏から、中国、韓国、インド、ナイジェリアといった非欧米文化圏まで、調査したすべての地域でほぼ一貫していたことです。クールさの基準は、私たちが思う以上にグローバル化しているのかもしれません。
リチャード・ブランソンに見る「クールさ」
この6つの特徴を体現する実在の人物として、ヴァージン・グループの創設者、リチャード・ブランソン氏が挙げられます。
彼は巨大企業グループを率いるパワフルな経営者でありながら、気球で大西洋を横断し、宇宙旅行ビジネスに乗り出すなど、常に冒険を追い求めています。メディアにも頻繁に登場する外向的なカリスマであり、常識にとらわれない事業展開は彼のオープンさと自律的な精神を物語っています。そして何より、プライベートアイランドでカイトサーフィンを楽しむ姿からは、人生を謳歌する快楽主義的な姿勢がうかがえます。彼はまさに、「クールな6つの特徴」を体現した人物と言えるでしょう。
あなたも「クール」に見られるには?明日からできる3つのヒント
では、どうすれば私たちも「クール」と見られるようになるのでしょうか。研究結果から、3つのヒントが見えてきます。
1. 「自分だけの好き」を追求する(自律性・快楽主義)
流行を追うだけでなく、自分が本当に楽しい、面白いと感じることに時間を使ってみましょう。他人の評価を気にせず、自分の「好き」を追求する姿は、自律的で魅力的に映ります。それがニッチな趣味であっても構いません。
2. いつもと違う選択をしてみる(冒険心・オープンさ)
ランチでいつもと違う店に入る、通ったことのない道で帰る、普段は聞かないジャンルの音楽を聴いてみる。そんな小さな「冒-険」の積み重ねが、あなたを新しい経験に対してオープンな、刺激的な人物に見せてくれます。
3. 自信を持って人と関わる(外向性・パワー)
これは必ずしも「パーティーの人気者になれ」という意味ではありません。会議で自分の意見をはっきり述べる、興味のあるイベントに一人で参加してみるなど、少しだけ主体的に人と関わってみましょう。自信のある態度は、自然な影響力(パワー)を生み出します。
研究が示す最も重要な注意点は、「クールに見せようと必死になること」は逆に格好悪いということです。大切なのは、これらのヒントを参考にしつつも、あくまで自然体で、自分らしくあることなのかもしれません。