健康に良いと思われていた電子タバコ、実は血管に悪影響を与える可能性があることが、最新の研究で明らかになりました。
シカゴで開催された北米放射線学会の年次総会で発表されたこの研究は、ニコチンを含まない電子タバコでさえ、使用者の血管機能を低下させる可能性を示唆しています。
電子タバコ使用で血流速度が低下、酸素飽和度もダウン
アーカンソー大学医学部の Marianne Nabbout 博士らの研究チームは、タバコの喫煙者、ニコチン入り電子タバコの使用者、ニコチンなし電子タバコの使用者、そして非喫煙者の4つのグループを対象に、MRI検査を用いて血管機能への影響を調査しました。
その結果、喫煙または電子タバコを使用するたびに、下半身への血流を司る大腿動脈の血流速度が大幅に低下 することがわかりました。
血管機能の低下は、ニコチン入り電子タバコ使用者で最も顕著でしたが、ニコチンなし電子タバコ使用者でも、非喫煙者やタバコ喫煙者に比べて大きな変化 が見られました。
さらに、ニコチンの有無にかかわらず、電子タバコを使用すると、肺が取り込む酸素の量が減っている可能性 も示されました。
血管機能の低下は、様々な健康問題のリスクに
血管機能が低下すると、血管が拡張・収縮しにくくなり、血液が効率的に流れなくなります。酸素や栄養素の供給、老廃物の除去がうまくいかなくなり、血栓、高血圧、脳卒中などのリスクを高める可能性 があります。
専門家「電子タバコは安全ではない」
アメリカ肺協会の Albert Rizzo 博士は、「電子タバコは、無害な水蒸気以上のものを人に暴露していることを示す証拠が増えており、この新しい研究もその一つです。電子タバコの成分が肺や血管に与える影響については、まだよくわかっていません」と警鐘を鳴らします。
Rizzo 博士は、ニコチン入りとニコチンなしの両方の電子タバコに影響が見られたことは、成分中の何かが気道に炎症を引き起こし、それが全身に波及している可能性 を示唆すると指摘しています。
若者への影響が懸念
Rizzo 博士は、「肺協会としては、市場に出回っている様々なフレーバーに惹かれて、若者が電子タバコを使い始めることは絶対に避けたい」と述べています。
FDAの規制に期待
Nabbout 博士は、この研究の目的は、米国でどの電子タバコ製品を市場に残すべきかについて、規制当局が決定を下す際に役立つ情報を提供することだと述べています。
電子タバコは長年規制なしに販売されてきましたが、市場にとどまるためには、米国食品医薬品局(FDA)の承認を得る必要があります。FDAは現在、何百万もの製品 applications を審査しています。
電子タバコの安全性については、まだ多くの不明な点があり、さらなる研究が必要です。