国内セキュリティ企業を専門とする投資ファンド「日本サイバーセキュリティファンド(NCSF)」が立ち上がった。参画するのは総合商社の兼松をはじめ、国内のサイバーセキュリティ業界でよく知られる16社。日本の新しいセキュリティサービスを支援し、サイバー攻撃からの防衛力向上を目指す。
NCSFはアーリーからレイターラウンドのスタートアップに投資する。セキュリティ関連であれば幅広い分野の企業が対象となる。アーリーラウンドでは新規性の高い技術を持つ国内外の企業を、ミドルからレイターラウンドでは国内のセキュリティスタートアップに投資する。
なぜサイバーセキュリティ企業が投資ファンドを作るのか
日本国内のセキュリティ専門企業は数十社に限られ、セキュリティ人材が圧倒的に不足しているのが現状だ。KADOKAWAの事件のように、企業がサイバー攻撃から身を守ることは喫緊の課題だが、まだ対応しきれていない。そのため、業界横断で手を組み、ファンドを立ち上げてこの社会問題に立ち向かうことが狙いだ。
経済産業省も「さらなるサイバーセキュリティ対策が促進されるとともに、国際競争力を有したビジネスプレーヤーが生まれることを期待する」とコメントを寄せており、NCSFが他にはない社会的意義を有していることが伺える。
投資先企業は30社程度を見込み、1社あたりの出資額は数千万円から数億円程度。現時点で20億円程度を集めており、今後は最大100億円規模のファンドを目指す。
老舗商社がサイバーセキュリティファンドを立ち上げる理由
今回のファンド立ち上げに関わった老舗商社の兼松は、羊毛貿易を祖業とするだけに、「なぜ?」という声も聞かれるが、現在兼松は全社利益の約4割をICTソリューションが占め、サイバーセキュリティ分野にも力を入れており、業界の上位ランカーの一つ。
そんな兼松の宮部佳也社長は「世界に羽ばたくスタートアップが日本から生まれるよう、セキュリティの土壌にも種をまき、成長の芽を育んでいきたい」と意気込みを語った。また、新たに参加した企業は以下の通りとなっている。
AGEST
網屋
エーアイセキュリティラボ
サイバートラスト
セキュア
セキュアヴェイル
セキュアスカイ・テクノロジー
セグエグループ
ディクスホールディングス
テリロジーホールディングス
ピーエスシー
ブロードバンドセキュリティ
ユナイトアンドグロウ