飴離れをしているというZ世代の心をつかむべく、キャンディメーカー大手・カンロ株式会社が新商品開発に力を入れている。それらの商品はこれまでにないアプローチをしており、業界でも大きな注目を集めている。
ここでターゲットとなるZ世代とは、1996年以降に生まれたデジタル・ネイティブたちのこと。SNSを使った発信力などからビジネス上でも大きな注目を集めている世代だが、このZ世代は飴の購買が少なく、キャンディ市場においてはブルーオーシャンとなっている。
7月29日、決算発表に臨んだカンロ・三須和泰社長は、「未来のカンロにつながる施策を行っていく」と意気込み、今後の施策の1つとして現役高校生とタッグを組み、Z世代との共創による商品開発を開始、23年度上期には新商品の発表を予定していると語った。
また「現役高校生との共創は、キャンディの新たなコアバリューを再考するとともに、今のキャンディ市場のマンネリを打破し、活性化するためのキーとなると考えている」として、現役高校生と共に商品開発をすることで、一過性の嗜好品ではなく、商品を手にした人の記憶に残るようなキャンディをめざすという。
これまでにもグミの製法を応用したマシュマロ『マロッシュ』など、Z世代を狙った商品がいずれも好評を得ているだけに、早期の実現を期待できそうだ。
デジタルコーマスと海外進出
またZ世代への取り組み以外も、キャンディの未来に向けた興味深いものばかりだ。たとえば、キャンディの新しい可能性をさぐる新ブランド「アメージングカンロ」をスタートさせ、8月30日に第1弾として、満天の星空を閉じ込めたような「ホシフリラムネ」を発売。また、フューチャーデザイン事業として、ヒトツブカンロのサステナブルライン「ヒトツブカンロearth」を今秋より稼働させていく。
そしてデジタルコマースに注力し、WEBサイト「Kanro POCKeT(カンロポケット)」から、販売チャネルにとらわれない購買体験を提供。海外事業として、中国向けオリジナル商品の輸出を開始。糖尿病患者が世界最多という中国のノンシュガーニーズに注目し、価値機能としてのノンシュガーと、情緒価値としてのくつろぎのひと時をあわせた、「0糖1刻」ブランドを中国にて年内に発売予定。
カンロのキャンディ市場について時間軸、空間軸からの大きなアプローチは、いずれもキャンディ市場に大きな影響を与えそうだ。