freee上場後3日で株価は1.5倍超、時価総額1500億円に クラウド会計ソフトは、税制改正、社会的転換など伸びしろ大きい

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クラウド会計ソフトを提供するfreee株式会社が12月17日、東証マザーズに上場し、多くの投資家の注目を集めている。公開価格は2000円だが、12月20日時点の終値では3220円、時価総額約1500億円となっている。

また今回話題を呼んだのは、株式公開が海外の投資家に対しても売出しを行うグローバルIPO(国内SaaS企業としては初)だったということ。海外比率は7割に及んでいる。その理由は北米を中心とした機関投資家はSaaSをよく理解しており、関心が高かったためで、「ディスカッションを重ねる中で、良いパートナーシップ関係を築けるという判断した」という。

freee社は、クラウド会計ソフト(ERP)がメインのプロダクトで、サブスクリプションタイプのビジネスモデルとなっている。また同社のプロダクトが単なる会計ソフトと異なっているのは、請求書発行や請求への支払いなど、企業が行わなければいけない様々な会計周りの業務を支援する機能を持っているところ。

freeeの直近の業績を見てみると、営業損失28億3000万円。2020年7-6月期も、28億7600万円の赤字を見込でんいる。だが、現時点ではこれだけ“評価”されているわけだ。それもそのはず、その伸びしろは大きい。

同社の発表によれば、クラウド会計ソフトの中で55%という圧倒的なシェアを持っている。国内の市場を見渡すと、54%の企業が何らかの会計ソフトを使っていて、クラウド会計ソフトの利用者はまだ14.5%程度。また設立1年以内の若い法人が多いという。

社会的な背景として、労働人口の減少、最低賃金の上昇、働き方改革により残業ができないといった環境により、業務の自動化が求められていることや、副業の増加などがあり、今後ますます会計ソフトへの需要は高まると見られている。

そして税制改正での適格請求書等保存方式(インボイス制度)が採用されるにあたり、請求書等のフォーマットの変更、保存方法の変更、消費税の計算方法の変更などが実施される。一方で電子化すれば紙での保存が不要になるなど、政府側による会計ソフト等のクラウド化の支援があることから、数多くの「追い風が吹いている」(同社・佐々木大輔CEO)という。

上場で得た100億円超える資金

今回上場で得た100億円超える資金は「クラウドERPの開発」「中小企業の皆さまに使ってもらうための営業、マーケティング」に使っていくという。

そしてfreee社は、「アイデアやスキルがあれば誰でもビジネスを強くスマートにできるプラットフォーム」にするための、今後のビジョンについても発表。1段階目は取引プラットフォームを利用した、社外も含めた効率化、自動化を実現。会計と人事労務を中心に業務効率化と経営の可視化の提供を目指し、それを社外にも広げる。

2段階目では、アプリストアや会計事務所とのやりとりなどをアプリ上で行なえるようにする。3段階目には、ユーザーが銀行から融資を受ける際に、freeeのデータから受けられる融資の目安を提示するといったデータサービスを展開するという。

このビジョンに対して佐々木CEOは、「本業さえ取り組んでいれば誰でもビジネスを成長させられる、そんなプラットフォームを目指す」と語った。

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