ふるさとチョイス大感謝祭が盛り上がる背景 返礼品ありきでない自治体と寄付者のコミュニケーションの場に

「第5回ふるさとチョイス大感謝祭」(株式会社トラストバンク主催)が11月16、17日にパシフィコ横浜で開催され、多くの参加者で賑わった。今年で5回目となるこのイベントは、ふるさと納税を行う自治体や地域の事業者・生産者などが、寄付者に感謝を伝えることをテーマに開催されるもの。

飲食物の試食や販売があるものの、寄付者に対して、寄付の使われ方の提示や、“ありがとう”の気持ちを伝えることがメインの内容となっている。既存の物産やグルメとは大きく異なるイベントだ。

それにもかかわらず今年は昨年よりも3団体多い、127自治体の参加となり、初日には5830人、二日目には5770人、2日間で11,000人以上が来場。ふるさと納税への関心の高さを伺わせた。

味わうよりもコミュニケーション

トラストバンクによれば、イベントを重ねるにつれ、自治体が寄付者とコミュニケーションを取る場に変化してきているという。

たしかに会場をめぐって聞こえてきたのは、寄付者から参加自治体スタッフに「あたし寄付したのよ。今日は来られて良かった」といった声や、スタッフからの「そうでしたか、ありがとうございました」といった感謝の声。また各ブースには自治体の寄付の使いみちやお礼などを書いた看板が飾られており、それを嬉しそうに写真に撮っていく寄付者もいた。

何に使われたのかがわかると嬉しい。

一時は返礼品バブルが起こり、今年6月には法改正が行われるなど、そのあり方が問われたふるさと納税。だが返礼品問題ばかりが注目を浴びてしまい、寄付が地域の課題解決や地場産業の発展に役立っているという側面は見落とされていたとも言えるだろう。

今回のイベントでは、その寄付の使い方を確認することができ、寄付者や今後寄付をしようとする人々にとって、その本来の意義を確認することができる有益な場であった。

台風被災地・南房総市も参加

今年令和元年には8月の豪雨、台風19号といった未曾有の自然災害に襲われた日本。ふるさとチョイスは災害時に自治体に寄付フォームを無償提供し、寄付金を被災地に直接届け、寄付金と一緒に応援の言葉を届ける災害支援を行っている。支援総額は、2019年10月21日時点までで60億円。

被災地の一つである千葉県南房総市も「きふと、」コーナーに参加。「きふと、」はふるさとチョイス内にある「思いやり型返礼品プロジェクト」で、寄附をすることで「自分のためでなく誰かのためになる」返礼品や、「社会貢献に繋がる」返礼品を、自分ではない誰かのために届けることができるというものだ。

南房総市は被災後、災害支援型の「きふと、」に参加しており、ブースには寄付者からの応援メッセージや、寄付を受けた南房総市の人たちからの感謝の声が飾られ、参加者たちの注目を集めていた。南房総市のスタッフによれば、寄付者からの応援メッセージは地元の人々を勇気づけ、モチベーションを高める大きな効果があったという。


また、今回取材中に知り、ユニークだと思ったのが佐賀県だ。同県のふるさと納税は、佐賀県内の応援したいNPO等を指定して寄付することができる。寄附はその額の95%をNPO等に渡し、NPO等の大きな課題の一つである資金調達を可能にすると。佐賀県は、この仕組みによりNPO等が自ら考え行動する自発の地域づくりの促進をするという。

そんな取り組みを知ることができるのも、このイベントならではのことだろう。ふるさと納税を行っている人や、興味のある人は機会があれば同イベントに訪れてみることをおすすめした。返礼品ではないところにある、ふるさと納税の楽しみや喜びを知ることができるはずだ。

福岡県大川市の猫用家具が可愛い。

ここに来ないと会えないような素敵で珍しい産品も。

青森県三戸町は寄付を使い「11ぴきのねこの」とのコラボも。

編集部: