トーゴ共和国はアフリカの西部にある国で、西にガーナ、東にベニン、北にブルキナファソと国境を接し、南のギニア湾に面した海岸は約60㎞、国土が南北に700㎞あり、細長いテープ状の形をしている。海岸地帯は16世紀から19世紀にかけて欧州諸国の植民地時代に「奴隷海岸」と呼ばれ、奴隷を集めて搬送していた。首都、ロメの港は、西部アフリカのコーヒー、ココアなどの農産物、木材などの主要貿易センターになっている。人口750万人、多くの種族が穏やかに混在した国で、「アフリカの笑顔」をモットーにしている。私たちは東京都目黒区八雲にある駐日大使館でアフォニョン・クアク・セダミヌ臨時代理大使にインタビューした。
―—外国人にとってトーゴで最も魅力なことは何でしょうか。
大使「まず政治的に安定しているので、外国からの投資に最適なことです。特に口メ港は岸壁の水深が深いので大型船が停泊でき、貨物の積み込み、荷下ろしがしやすく、しかも政策的配慮で貨物の搬出入に対して一定の期間は関税を課しません。もう一つの魅力は文化的な面で、国内に47民族・部族が混在していて、それぞれが独特の伝統文化を守り続けていることです。」
―—個性的な文化としてどんなものがありますか。
大使「南部では毎年9月あるいは8月下旬、白、青など様々な色の「聖なる石」を崇拝する儀式があります。手のひらに入るほどの小さな石ですが、非常に神聖なものです。中央地帯ではやはり7月に豊かな収穫を讃える火祭りがあります。6月~8月は気候的にも祭の多さからも、トーゴの最高のシーズンですね。」
―—トーゴの労働事情、国民の教育水準はいかがでしょうか。
大使「わが国は非常に若い国で、人口の60%以上が35歳以下で、労働力も若いです。そこで特に教育に力を入れていて、現在、初等教育の10年間は無料で、全員が就学しています。国立大学が2校に私立大学も多数あり、社会的なニーズに合わせて特に科学技術を重点的に教育しています。」
―—今までの両国関係と今後、期待されていることは何でしょうか。
大使「2010年、東京に駐日大使館ができました。2011年、大統領が初めて来日し、その3か月前に起きた3.11東日本大震災の被災地を見舞いました。大統領は被災者の支援のために120万円の義援金を贈り、その翌年には被災地の住宅や家具作りに役立ててもらおうとトーゴ原産のチーク材を寄贈しました。」「日本人の観光客も急速に増えて嬉しい限りです。これは、トーゴの道路や港のインフラなどへの日本の投資が増えていることと、トーゴの観光や文化的な魅力のためだと考えています。」「もっと多くの日本人にトーゴの魅力を知って欲しいと考えています。セミナーや文化イベントなど様々な機会を提供しています。たとえばIACー国際芸術家センターがおこなっているような、文化イベントにも協力したいと思っています。」
文:勝又美智雄
(IAC会員・国際教養大学名誉教授)
写真:小端明子(IAC会員)