ラーメンの味の決め手として近年多用されているのが、豚の背中に存在する脂肪。程よく入れるとコクが増し、スープも冷めにくいところから重宝されている。この『なりたけ監修 しょうゆラーメン』は、後入れスープがドロドロの小さな肉片混じりの背脂、その後の調味油が白濁した背脂という徹底した背脂攻撃が特徴。見るからに胸焼けしそうだが…。
一周回ってむしろさっぱり感さえ感じてしまうマジカルな美味しさが後を引く!
千葉・津田沼に本拠を構える「こってりらーめん なりたけ」。もはや店名がこってり。英国のダイアナ妃が離婚した1996年に誕生したこの店の最大の特徴は、当時はまだ珍しかった平網を使って行う”背脂チャッチャ”の儀式。東京はもとより、フランス・パリにまで店舗展開している世界の背脂チャッチャ系ラーメン店である。
その味わいをカップ麺でどこまで追求できるのか、気になるところだが、エースコック『なりたけ監修 しょうゆラーメン』(119gうち麺60g・希望小売価格 税抜258円・2018年3月27日発売)は、後入れ背脂ダブルパンチで、カップ麺とは思えない脂たっぷり感を実現した。
麺は太めのノンフライ麺。コクのある醤油味のスープに、かやくはネギ、もやし、メンマ。チャッチャの音の源となる脂肪の塊が入っているので、これもかやくに入れていいかもしれない。
作り方はかやくだけでなく、粉末スープも入れて熱湯をインする珍しいパターン。手前に粉末を入れたら、そこを溶かすように湯を浴びせていくのがスマートだろう。
4分間の湯蒸らし時間を経て、かき混ぜタイム。ノンフライ麺はなるべく脂系のスープなどを入れる前にほぐすのが鉄則。その後、蓋の上で温めておいたズッシリとした液体スープを投入する。でもこれ、スープというかほぼ背脂。塊混じりのドロドロの脂をドバッ。すごいな、これと感嘆する間も無く、あと入れ調味油の投入。こっちはこっちで白く固まりかけたタイプの脂。ここにこれ!? と思わないでもない。
仕上がりは当然のごとく、スープ表面は2〜3ミリ近く脂の透明な層が出来上がっている。ではスープからいただこう。ずずっとすすると表面の油だけを飲んでしまった。うわ、これはすごい。さらにすするとやっと下のスープと混じり合い、醤油味のラーメンスープが感じられる。これが背脂のコクと旨味と相まって、実に美味しい。
麺も張りのあるタイプで、黄色いそれを食べると噛みごたえとともに旨味が炸裂。食べているうちに、何だかすっきりあっさりとした印象になってくるくらい、シンプルな美味しさに満ち溢れている。ほぼ油でできているのに、すっきりシャープな醤油ベースの味わい。背脂系で豚骨らーめんはきつくなることが多いが、これは鶏と豚げんこつの合わせダシなので非常に食べやすい。獣臭さも微塵もない。
人を見た目で判断してはいけないように、スープも見た目で判断すべきではないと感じさせた『なりたけ監修 しょうゆラーメン』。自分はてっきり背脂チャッチャ系は得意でないと思っていたが、今日から宗旨替えだ。
ファミリーマート、サークルK、サンクス限定・数量限定で発売されている。