中国で化学の教授が、覚醒剤を密造する副業を行って逮捕、無期懲役を言い渡された。昼間は大学で教鞭を振るう一方、夜には違法薬物の製造から販売まで行っていたその実態は、アメリカの人気ドラマ『ブレイキング・バッド』と同じだとして、海外でも話題になっている。
湖北省武漢市の大学教授だったという男性は、相棒の男(上記ドラマのジェシー・ピンクマンのように教え子ではない)と共に、10年以上にわたり覚醒剤を製造、インターネットを通じて米国、英国、カナダ、オーストラリアなどに売りさばいていたという。毎年約6000〜7000万円の利益があったとみられている。
違法薬物の密造に手を出したきっかけは、オーストラリアに客員教授として行った際、メタンフェタミン(覚せい剤の一種)が人気があるということを知ったこと。05年からは覚せい剤製造プラントと販売を行う会社を作り、全世界に販売網を広げていた。また中国では普及の進むビットコインでの決済も行っていたという。
しかしその幕切れはあっけなく、2014年に武漢税関当局が別名義で詰められていた“白い粉”を発見、そして逮捕されたのだ。
『プレイキング・バッド』は主人公の科学教師が、癌により余命幾ばくもないことから、家族に財産を残すために覚せい剤の密造と製造に乗り出したが、この事件に関してはそういった背景はなく“ただの金儲け”だったという。
文/高野景子