米刑務所でラーメンがお金として使用できる “マルちゃんには1万円札の価値”

アメリカの刑務所では、インスタントラーメンは1つの通貨であるという。

アメリカの刑務所では、なんとインスタントラーメンが「通貨」として使われているという。

トランプ賭博や、衣類や衛生用品、または刑務所内のトラブルの解決のお礼が、インスタントラーメンで支払われるというわけだ。「あのクソッたれをシメてきてくれ。10マルちゃん正麺でどうだ…」という具合だ。

かつて米国の刑務所内ではタバコが主要通貨として使われてきた歴史があるのだが、ここにきて、ラーメンがその座を奪い始めた。まるで円やドルなどの通貨を、ビットコインをはじめとする仮想通貨が猛追するようにだ。

海外のインスタントラーメンは1パックが小さいこともあり、通貨として丁度いい。

この“プリズン・ラーメン・カレンシー・レボリューション”を発見したのは、米アリゾナ大学博士課程で、社会学研究を行っているマイケル・ギブソン・ライト氏。彼の論文によれば、その原因は刑務所内での環境悪化だと指摘。

米国各州の刑務所では予算の削減が強化されており、それにしたがって、食事のクオリティも低下。味はもとより栄養価も低くなってきているという指摘もある。ライト氏によれば、そういった要因で、高カロリーかつ美味なるインスタントラーメンの価値、希少性があがっているという。

その結果、お礼として使われるようになり、さらにその手軽なサイズであったことから、通貨としてインスタントラーメンが使われるようになったのではないかというのだ。

マルちゃんは海外でも人気ブランド。

特に人気があるのは東洋水産のブランド、マルちゃん製品だというのは、日本人にとっては嬉しい話(!?)。といっても同ブランドの人気商品の「マルちゃん正麺」ではなく、現地のローカライズ商品のようだが。

その人気は、刑務所中でも大きなグループをしめるメキシコ系囚人グループからはじまった人気だとも言われている(メキシコではマルちゃんは超人気ブランド)。ラーメン一つを盗んだとして殺し合いの事件が起きることすらある中で、“マルちゃん好きの囚人からしたら、ムショの中ではそれ1つが100ドル札並の価値”という声も。

最近すっかり聞かなくなったクールジャパンなるあの標語、アメリカの刑務所内で聞いてみれば「ラーメン」だったり「マルちゃん!」だったりするようで。

(文・高野景子)

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