死という究極の刑罰をあたえられた死刑囚が、人生最後に食べたいと願ったものはなんだろうか。アメリカでは死刑執行前の食事に、受刑者のリクエストに応えた食事が供される。そのため“最後の晩餐”の記録が多く残っている。
03年に筑摩書房より出版された『死刑囚 最後の晩餐』(タイ・トレッドウェル/ミッシェル・バーノン 訳・宇佐羽通)は、アメリカの死刑囚たちが人生最後の食事について詳しくレポートされている。
■死刑囚の25.7%がハンバーガーを人生最後に注文
同書によれば、アメリカで1977年に死刑制度が復活して以降、最多執行数508人をほこるテキサス州での“最後の晩餐”にはハンバーガーが1番人気だったという。受刑者の25.7%がハンバーガーを頼んでおり、そのうち半数が、ダブルミートとダブルチーズにしたという。
また、フライドポテトを一緒に頼む者も多く、レタス、ピクルス、トマト、マヨネーズといったトッピングも人気だったとのこと。ちなみにステーキは、全体の約19%にとどまっている。
死刑囚たちはほぼ殺人犯、彼らにとって人生の名残となる食べ物は、アメリカを象徴する食べ物ハンバーガーだったのだ。
■有名シリアルキラーは死刑前にダイエットコークを
他にも同書には、アメリカ犯罪史上最凶のシリアルキラー、ジョン・ウェイン・ゲイシーをはじめとした有名犯罪者が死刑前に食べた料理が掲載されている。ピエロの格好で子供たちを呼び込んで殺していたゲイシーは、エビフライ、ケンタッキーフライドチキン、フライドポテト、いちご、そしてダイエットコーク(!)を頼んでいた。
死刑直前に数キロもたいらげた者や、「ロブスターテイルのカニ肉詰め」なんて珍奇なメニューを頼んだもの…、気になる記録が多く掲載されている。
同書の内容は、犯罪者のライフヒストリーと“最後の晩餐”をプロファイルするといったものではなく、淡々と罪状と食べたものについて記録している一冊だ。むしろ、なぜ“最後の晩餐”を知りたいと思うのか、我々の心理について問いかけるものとなっている。
文/鷹村優