■関東では特に人気のない天津飯
ふんわりしたかに玉をご飯にのせ、とろみのついたアンをかけた天津飯。だが、中華料理店ではチャーハン、中華丼の3番手、会社で言うなら仕事はできるが万年係長的なポジションに甘んじてきた。しかもそれは関西の話。
天津飯は関東ではほとんど人気がないために、そこらの店で注文すると、メニューにあるにもかかわらず「…ちょっと待ってください。(厨房の方に確認をとってから)はい、できますよ」ぐらいの扱いなのだ。
■中二病感のあるスーパー天津飯
そんな屈辱をなめてきた天津飯が、ついに逆転できるかもしれないメニューが、餃子の王将から発売されている。そのネーミングも中二病感あふれる「極王天津飯」。とろとろフワフワの卵にアスパラガスとむっちむちな海老が乗っていて、おお贅沢しているぞ、俺は、と言いたくなる。
卵とアンのとろみにくるまれたご飯を流し込む感じで食べる、脂っこくてしょっぱくて美味い、そんな飲み物のような料理だ。そこで海老とアスパラがぷりぷり、シャキシャキとアクセントになる。
天津飯といえば誰もが思いつく、ドラゴンボールのキャラクター。それで言えば、気功砲なみのインパクトのある美味さなのだ(作っている人の寿命が縮んでしまう…)。
■ケチャップ系ではないグローバルな味
アンは透明感な塩アンなので、ケチャップっぽいアンが苦手という人にもおすすめだ。関西人が関東にきてびっくりするのは、東京などではケチャップの入った赤めのアンが多いこと。逆に、関東人が関西にいってそうではない醤油アンの天津飯を食べて、ハマるといった話もあるほどだ。
極王天津飯の塩アンは、ケチャップでも醤油でもないので、関東関西すべての人たちにマッチする味わいとなっている。
■本場中国の猛者たちもこれならヤレる!
天津飯自体は、実は中国や天津市には存在しなかった、日本のオリジナル中華料理。発祥には2説あり、1910年に浅草の有名中華料理店・来々軒に来たコックが、かに玉と酢豚のアンで作ったというもの(たしかに酢豚のアンにはケチャップが入る)。大阪の馬場町にあった大正軒が作ったものという説がある。
現在では逆輸入されて天津市でも時折食べることができるんだとか。しかし向うではケチャップアンを使ったものが多く、地元の人からは「けったいな料理」と言われることもあるというから、この極王天津飯ならば、本場の人たちも唸らせられる味ではないかと!
■天津チャーハンは邪道!外道!
ちなみに王将には裏メニューとして天津飯とチャーハンをフュージョンさせた、天津チャーハンがあるが、そんなものは邪道だ! ドラゴンボールで言えばピラフ様(服に「炒飯(チャーハン)」と書いてある)と天津飯をフュージョンさせたようなもの。なんか、イマイチじゃないですか。
この極王天津飯をもって、中華丼めし戦線のヒエラルキーに異常アリと申し上げたい。関東の人たち、マジで食べてみてください、美味しいので!
文/鷹村優