ツチノコ、ビッグフット級にレア
「どんな用事があっても、見かけたらあとで絶対に入るようにしています。だって、もはやツチノコやビッグフットなみに幻のファミレスなんですよ、CASAは!」(グルメ雑誌ライター)
この人はかなりの美食家で、ふだんはファミレスには行かない人(ちょっとイケすかない)なのだが、ファミレス店「CASA」だけは行くようにしているという。それほど“貴重”な店だということか。
かつては全国に200店舗
CASAはバブル期の80-90年代にかけて、すかいらーく、デニーズ、ロイヤルホストに続く、他店舗を展開していたファミレスチェーン。最盛期には全国に200店舗近く展開していたため、かすかに記憶に残っている人もいるだろう。
ロイヤルホストに近い業態で、比較的高級志向があったために、当時のトレンディーな男女たちが集まり、店の中にはわたせせいぞうの漫画のような雰囲気が漂っていたという。
「そうなんですよ、バブル期の青春の店といえばCASAでしたね。ハンバーグとか美味しかったし、内装もちょっとオシャレで…え、今でもまだあるんですか!?」(40代サラリーマン男性)
今ではわずか数店舗まで激減
だが00年代に入って、ガストなどが進める低価格路線により、CASAは苦戦することになる。また同チェーンを運営会社による、新路線「キッチンデミグラ」「フーチン」などの低価格店を投入したが、さらなる窮状を招くことになる。
02年にはCASAの郊外型店舗120店が、ココスジャパンに売却され、同チェーンの店舗へと変貌しており、それからは減少する一方。現在。西洋フード・コンパスグループ株式会社が9店舗、西洋レストランシステムズ株式会社が11店舗となっている。かつて200もあったCASAは、超ローカルチェーンへと、変わってしまったのだ。
ほのダサさくてくつろげる店
だが、さきのライター氏がCASAに飛び込むのは、往年の思い出のためだけではなく、実際に「美味しいから」だという。
「バブル期にいけいけだった人が作ったレストランが、その後地元の居酒屋化したような、妙に落ち着ける店になってしまった。そこの渋味がいいし、味も美味い」(前出・ライター)
東京・大久保店におとずれてみると、たしかにそれはわかる。昔はスイーツなどを入れていたとおぼしきショーケースもがらんどうになり、飾られているワインの瓶のほのダサさが、たしかに地元の居酒屋っぽい。店内む無臭というよりは、そんな“安心”できる香りがある。
ランチは699円から、飲み放題も安い
ランチメニューは日替わりで699円、ランチドリンクバーは149円だ。この日は豚しょうが焼きとアジフライのランチで、ライスは大盛りにできる。フライは、よそのファミレスよりも揚げたて感が強い気がしたが、そんなことはあるのだろうか。アジフライはアチアチだった。
豚しょうが焼きもちょっと味噌風味で、味が濃厚で大盛りライスをみるみる減らしていけるパワーがあったし、スープは、卵、玉ねぎ、ベーコンの角切りがたっぷり入っている、コンソメ豚汁みたいなやつで、ボリュームいっぱい。日替わりランチの満足感は大したもの。
近所のスポーツ施設帰りとおぼしきオバチャンが、友達のオバチャンに「ここね、他のファミスより若い子少なくていいのよ」なんて言っていたとおりで、居心地はホントによい。昔の同級生がやってる店のようなのだ。
ちなみにアルコールの飲み放題も90分で999円ととってもお得、我々30代以上の憩いの場としては最適。大人が行きたい本当の隠れ家的って、こういう店なのかも。本当にはぐれメタル、つちのこ級にレアなので、見かけたらお茶ぐらいした方がいいですよ!
文/鷹村優