「私の子供の頃からの夢は、お嫁さんになって、暖かい家庭を築くことでした。主婦として私が家のことは切り盛りするんです。だから料理教室にも通いましたし…でも相手の男性に『主婦になりたい』と言うとみんなイヤな顔をするんですよね」
都内の輸入雑貨卸業者で事務をつとめるAさん(30代後半)は、さみしそうに語ってくれた。Aさんは永作博美系のすっきりとした美人だが「若い頃に遊びすぎて」婚期を逃したという。結婚相談所や婚活イベントに参加しているものの、主婦願望を伝えると、上手くいかないのだという。
同じように婚活を精力的に続けているSさん(40代前半)も同様だ。こちらはいきものがかりのボーカル似の元気な女性で、主婦願望があったために、医者などのハイクラス層との結婚を目指していたのだが、上手くいかずにいまだ独身。
「今は男性にも高望みしていませんから、年収500万円あればいいと思っています。それだけあれば、一応私が家に入ることも可能なはず。それでも私にも稼いでいて欲しいという方が多いんです。ちょっと器が小さいですよね。頑張って自分の年収を増やすから、ぐらい言ってくれるといいんですが」(Sさん)
都内の大手結婚相談所で、長年カウンセラーをつとめてきたスタッフに聞いたところ、主婦願望を全面に押し出して、女性が結婚することは難しくなっているそうだ。男性たちも老後の年金不安や、仕事もこの先どうなるかわからない、そんな風に思っているからだという。
「多くの男性たちは未来に希望を持てない状況です。そんな中で『主婦になりたい』と言っていたら、絶対に結婚はできないでしょうね。特に30代後半ぐらいの女性たちで、キャリアウーマンじゃない人には、そういう傾向が見られます。しかもそんな女の人が結構多いんですよ」(結婚相談所スタッフ)
しかし、それでは彼女たちもいつまでたっても結婚できず、年をとっていってしまう。Aさんのように闇雲に出会いの機会を増やしても、男性たちが受け入れなければ仕方がない。
「だから彼女たちには『仕事を続けたい』と男には言い、結婚してから『主婦になるから』と説き伏せるべきとこっそり教えています(笑)」(前出・スタッフ)
このスタッフに聞いたところ、20代の若い女性たちは共働き志向が強く、男性たちと同じように不安を抱えているとのこと。CMやドラマなどでは主婦はよく出てくるし、現実にも多いが、次第にフィクション上だけの存在になるのかも?
文/田中結子