増えるうつ病ラーメンブロガー 「ラーメンと人間関係に疲れた」

「もうラーメンは食べたくない。食べることに疲れたし、肝臓も壊した。おまけに会社も辞めることにしました」

そう語るAさん(40代)は、元人気ラーメンブロガーだ。かつては毎日ラーメン店に行き、年間500食を食べあるいていたことも。そしてラーメンオタクの間でも一目置かれていた存在だった。しかし、あることをきっかけに精神的不調に陥り、うつ病と診断され、現在は務めていたIT系の会社を休職中だという。

「会社の飲み会の席で『Aさんってラーメンに詳しいんですよね』と女の子たちに聞かれて、僕のおすすめを教えてあげたんです。最近のトレンド、店主の人柄、コスパなど様々な側面を考慮して、女子向けのいいお店をです。また90年代からのラーメンのニューウェーブ系の歴史もわかりやすく教えてあげた。知り合いの店主だから僕の紹介だと言えば味玉ぐらいオマケしてくれるんじゃないかとも言いました」

Aさんにそんな話を聞いてきたのは会社の20代の女性社員3人だった。だが翌日、会社のランチルームに入ろうとした時、彼女たちがAさんの話をしていたという。

「酷いことを言っていたんですよ。『ラーメンぐらいであんなに得意になれるって終わってる』『彼女もいないし、ラーメンと結婚したんじゃないの』『息がトンコツとニンニクの臭いがする』なんて。その場には僕の後輩の男性社員たちもいたみたいで、みんな笑っていた。その日は会社を早退して、家に帰ったらめまいがして」(Aさん)

電話取材を行っていると、この話をしているうちにAさんは嗚咽をもらしはじめた。ラーメン二郎も全店制覇するなどラーメンに尽くし、恋愛、友人、仕事(休日の出勤も食べあるきのために断っていた)を犠牲にしてきただけに、周囲の心ない言葉が響いたようだ。

「ラーメンは結局、僕になにも与えてくれなかったんです」(Aさん)

こういう事例はAさんにとどまらない、筆者がかつて取材協力をお願いしていたあるラーメンブロガーは、他のブロガーたちと競うことに疲れ、彼は現在ラーメンを食べると吐いてしまうという程精神不安定になっている。またもう一人は、行きつけだったラーメン店の店主から『経営にまで口を出すのはやめてください。もうウザいからこないでください』と言われたことを機に、過食に陥って、もともと80キロだった体重が現在は120キロになっている。彼は現在外出恐怖症だと言っており、家でカップラーメンを大量に食べており、健康状態も心配だ。

90年代後半から2000年代前半にかけて、多くのラーメンブロガーたちが生まれ、ラーメンを食べることに情熱を燃やしてきた。彼らの多くはラーメン店を食べ歩くことをステータスにしてきたから、食べ過ぎで身体を壊すのはわかるが、まさか心まで壊してしまうとは。まあ、ラーメンには罪はないのだが。

提供/もぐもぐニュース(mogumogunews.com)
文/高遠仁

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