一色萌のアイドル、色々。第8回 「アイドルと2018年の終わり」

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こんにちは。プログレアイドル・xoxo(Kiss&Hug) EXTREME(キスアンドハグ エクストリーム。通称・キスエク)の一色萌(ひいろ・もえ)です。

冬も深まりクリスマスを数日後に控えた今ごろ、心なしか街全体が浮き足立っているような雰囲気に毎年ひっそりとワクワクしています。

一年が終わって、また新しい一年が始まる。年末特有の、終わりと始まりが背中合わせになっている期間がたまらなく好きです。

ですが今年はいつまでたっても年末気分が来てくれません。今年は平成最後の年の瀬だというのに。うかうかしていたらいつの間にか今年が終わってしまいます。年賀状もまだ作っていません。こんな感覚は初めてです。一体どうしたことでしょう。

この違和感について少し考えてたどり着いたのは、「私は別に終わりを特別と思っていない」というか、「終わりの感覚に慣れが生じて来ている」という結論でした。

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12月に入ったあたりからだんだんと今年の総括的な話題が増え、「今年はアイドルの解散や脱退が多かったですね」と話を振っていただく機会が多々あります。

確かに今年を振り返ってみれば、休む間も無く次々とやって来た「大切なお知らせ」が走馬灯のように思い浮かびます。この連載でも何度か話題にあげました。

規模の大小問わず数多のアイドルが活躍する今、そんなお知らせも珍しいことではなくなってから久しいとはいえ、多くの人が知る中堅〜大物のアイドルさんの解散や脱退・卒業はそれだけで強烈なインパクトを残すものです。

それが連続したのですから、無理もないでしょう。

私たちはあまりに多くの「終わり」に触れすぎて、少し鈍感になってしまったかもしれません。

如何にドラマティックな出来事やエキセントリックなニュースでも、短い期間に連続すれば慣れが生じます。

これはきっと人間の防衛本能の類で、意識的にコントロールできる範疇ではありません。
しかしながら慣れてきたからといってショックを受けなくなるわけでもないので、なかなかうまくいかないものです。。

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なぜこれまでアイドル界を支えてきた方々がほとんど同時に次々と解散や脱退・卒業をしてしまうのか、という問いに面したとき、私は単純に「同時にリミットが来た」のだと考えます。

概念としてのアイドルは永遠に存在することも可能ですが、実在としてのアイドルは永遠ではないので、活動できる期間には期限があります。

その上、一個人としての人生を考慮した場合、その人にアイドル以外にやりたいことがあればその期限は寿命よりもずっと短くなります。

皆さんは「3年神話」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これはアイドルの活動期間について語られる際によく出てくる、「アイドルは3年を目安に去就について考える時期が来る」という定説で、4年とする説もあります。

この”3年”ないし”4年”という期間がどこから出てきたのかというと、まず「人間が何かに夢中な状態を継続するのは3年が限界である」という恋愛の際にもよく用いられる心理学的な説がひとつ。そしてアイドル活動をしているのは学生が多く、中高大の入学・卒業のサイクルが3年もしくは4年で回ってくるからだという説。双方なかなか説得力のある理由で、きっとどちらも正しいのだと思います。

事務所のマネジメント契約期間の相場が1~3年だから、というお話も聞いたことがありますが、よそのアイドルさんの契約形態に詳しくないので、この説は紹介に留めます。

私は個人的に、2012〜2014年くらいがアイドルシーンが直近で一番盛り上がっていた時期ではないかなと考えています。もちろんどの時期をそう感じるかは個人差があると思いますが、今中堅〜有名どころのアイドルさんはこの期間に結成やデビューをされ、勢いづいた方々が多い印象です。私的な見解ではありますが、この仮定で話を進めます。

その頃に駆け出しだったアイドルさんが現在まで活動を続けていたならば、2018年には4〜6年くらいが経過した計算になります。

つまり、前述した3年周期の2周目、4年周期の1週目がちょうど重なるのが今年だったのではないかと思うのです。

たまたま重なったタイミングと、同期たちの「もうやりきったかな」という雰囲気。これが今年の解散・脱退・卒業ラッシュのからくりではないかなと私は考えています。

それに加えて、”元号が変わる”というのも去就を考える心の動きに密かに関わっているかもしれません。

「平成が終わる」という空気の中には、いつかの大予言の時に終わらなかった世界が今度こそ終わってしまうんじゃないかというような、つかみどころのない不安感があるように感じます。

終わらないことはわかっていても、長く続いてきたものが途絶えるのを目の当たりにして、自分も何かを区切らなくてはいけないと急かされているような気持ちになるのです。これは私が平成生まれだからでしょうか?

そんな2018年ももうすぐ終わりを迎えますが、毎年「大切なお知らせ」は卒業・進学・就職のトップシーズンである3〜4月に集中する傾向にあります。

まだまだアイドルでやり遂げていないことがあっても、今後の人生を考えて学業都合や家庭の事情で活動から身を退いていくアイドルやそのファンの気持ちを思うと切なくなります。

そのため、年が明けてからもしばらくは覚悟をしておいた方がいいかも……なんて、おどすつもりはないのですが。

気の滅入るようなお話ばかり書いてきてしまいましたが、「終わり」に意識をとらわれてしまいそうになった時は、まさに今、頑張っている人に目を向けてみるのはいかがでしょう。

そんな気配なんて吹き飛ばすくらいに力強く魅力的なステージを繰り広げているアイドルさんはたくさんいます。

また、「終わり」を迎えてしまった、もしくは「終わり」表明しているアイドルさんでも、その先の人生をつつましく応援することは許されると思うのです。

きっと「終わり」ばかりじゃないと気付けるはずです。

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2018年最後の更新なので、少し個人的な振り返りもしておきたいと思います。

今年は確かに悲しいニュースが多くありましたが、私個人として、グループとしては、去年よりもたしかな手応えを感じる一年でもありました。

これまで経験したことのないステージや憧れの共演者さんとたくさんご一緒できたこと。全国流通のCDをリリースできたこと。念願だった関西方面への遠征が叶ったことも大きいです。

キスエクは12月27日で二周年を迎えます。多くの出会いがあった今年を経て、来年はさらに多くの方と出会えることを期待しています。

私が愛してやまないアイドルとヲタクの皆さんの間に、来年は今年よりも晴れやかな空気が満ちますように。

私たちが皆さんに明るい話題を提供できる存在になれるよう、精進していきたい所存です。

それでは皆さま、よいお年をお迎えください。

【プロフィール】
一色 萌(ひいろ もえ)

ニックネーム:萌ちゃん、萌氏、誕生日:5月27日、出身:東京都、血液型:A型、趣味:アイドル研究、特技、アイドルについて話すこと
WALLOP放送局「キスエクのギュッと!プログレッシヴ!」レギュラー出演中(2018.4〜)

<一色公式Twitter> https://twitter.com/hiiro_moe
<公式Twitter> https://twitter.com/xoxo_extreme
<公式YouTubeチャンネル> https://www.youtube.com/channel/UCA7fn3DZFJGDmlxZZg8WQVA
<取材・オファー等> Email : contact@twelve-notes.com

【グループプロフィール】
xoxo(Kiss&Hug) EXTREME(キス・アンド・ハグ・エクストリーム 通称:キスエク)
楠 芽瑠・一色 萌・小日向 まお・小嶋 りんの4名からなる、プログレッシヴロック(略:プログレ)の楽曲を中心にパフォーマンスしているアイドル。プログレとは、曲調がよく変わる・曲が長い・変拍子…等が特徴の楽曲です。

2017年に、発売したシングル「えれFunと”女子”TALK〜笑う夜には象来る〜」に対して(キング・クリムゾン「エレファント・トーク」オマージュ)元キング・クリムゾンのエイドリアン・ブリューがその動画に「I like it!」とコメントで絶賛。

ライブ活動の他、ディスクユニオン新宿プログレ館で一日店員を務めたり、プログレファンの聖地である吉祥寺シルバーエレファントに、アイドルとして初出演。

2018年にフランスを代表するプログレバンドMAGMA公認カヴァー曲の「The Last Seven Minutes」を初披露。その動画がyoutubeにアップされると、カヴァーを公認したMAGMAが、公式Facebookで紹介したこともあり、一日で2000以上の再生数を得て話題になる。

同年2月4日に記念すべき初のワンマンライヴを鹿鳴館にて開催。プログレッシヴロックを知っている人も知らない人も楽しめるLIVEと評判。