「ラーメン屋は限定メニュー出さないと客来ない」店悩ます限定地獄 通常メニューではSNSに拡散されず閑古鳥

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現在、多くのラーメン屋をはじめとする飲食店を悩ませているのが、「限定メニュー」の存在だ。通常メニューに入っていないものを定期的にリリースしないと、SNSで拡散される口コミの機会が減ってしまうため、店の売り上げに大きく営業する場合があるという。

「いつものメニューでは客はこない」

都内でこだわりの素材を使った濃厚かつスタンダードなラーメンを出す店主は、こう語る。

「うちは二郎系とは逆の方向のラーメン屋なんですが、やっぱり、二郎っぽい限定メニューなどを定期的に出しています。二郎っぽいメニューを出せばジロリアンも来てくれますし、ビジュアルにインパクトもあるので、他のお客さんたちもTwitterやInstagramで拡散してくれますからね」

そんなメリットもあるのだが、

「そうやって、限定で目新しさを出さないとお客さんも来てくれないんです。通常のメニューもしっかり作っているし、少しずつ進化させていっているのですが、それはわかりづらいもの。辛いとか盛りがいいとか、そういうわかりやすい限定メニューではないと、お客様の関心は引けませんね。企業努力って大変です(笑)」

日高屋も定期的に限定メニューを提供中。写真は海老味噌ラーメン。

同店では月に多ければ2回の限定メニューを出すようにしているという。一方、ラーメン二郎た蒙古タンメン中本といった“王者”ですら、頻繁に限定商品を出しているのが現実だ(二郎は一部)。たしかに二郎や中本は、限定を出さずとも集客があり、それは店主の創意工夫やサービス精神による部分も多いだろう。

だが“王者”がそういった限定メニューで話題をさらえば、他の店も追従しなければならないのも、また真理。

個人店は限定メニューを出さないと生き残れない?

街の中華料理屋の五目そば。あえて“限定地獄の運動会”に出ないという選択もアリか?

ある飲食コンサルタントは、

「2010年代になり、TwitterやFacebookが定着しはじめたあたりで、外食産業の多くが口コミの力を利用するため、限定メニューを頻繁に打ち出すようになりました。業界では“マーライオン”と称されるほどメニュー不動の富士そばですら、今は限定メニューを出すようになっている。外食チェーンや二郎などが限定メニューを出しまくるんですから、人気が中から並以下の個人店も対抗策を打たないと厳しい」と指摘。

また個人店が「頻繁に限定メニューを出し、レギュレーションを変えるのはかなりのコストがかかる」とも。だが一方で、限定メニューで来る客は、再訪率が低いというデータもあるために、そういった商品は一時のドーピングにしかならないと指摘する声も。

「逆にうちは限定を一切やらないと決めてから楽になりましたね。横浜家系の総本山の吉村家や、東京の春木屋、京都の新福菜館などの大看板は、やらなくともちゃんとお客が来ます。そういう境地を目指したい(笑)」(千葉県 個人ラーメン店店主) というのもまた一つの営業スタイルだろう。

限定メニューという希少性をうりにされると、つい行きたくなってしまうのも我々のサガ。そんな気持ちをつかむため、多くの飲食店が苦悩しているのもまた事実。

みなさんは限定メニューはお好きですか?

文/鷹村優