被害額は過去最高の4000億円超へ「自分は大丈夫」が命取りになる2025年の防犯戦略

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犯罪件数が減っているにもかかわらず、私たちが失う資産の額は増え続けている――。

パナソニックが18日に開催した「防犯対策2025」ラウンドテーブルでは、巧妙化する現代の犯罪事情と、それに対抗するための新たな防犯のあり方が提示されました。年末年始に向け、企業や家庭でのセキュリティ意識の再考が求められる中、ビジネスパーソンが押さえておくべき最新のリスクと対策をレポートします!

「件数減少・単価上昇」の不気味なトレンド

まず直視すべきは、犯罪の質的変化です。全国的な犯罪認知件数自体は減少傾向にあるものの、窃盗や詐欺を含む財産犯の被害総額は4000億円を超え、過去最高を記録しています。

特に深刻なのが特殊詐欺です。2025年の被害額は8月末時点ですでに831億円に達し、前年同期と比較して約480億円も増加。年間では1200億円を突破すると予測されています。ここから読み取れるのは、犯罪の手口が高度化し、一件あたりの被害額が高額化しているという実態です。

また、「詐欺=高齢者」という図式も崩れつつあります。近年は「ニセ警察官詐欺」が急増しており、20代から30代の若年層がオレオレ詐欺のターゲットになるケースも大幅に増えています。被害者の約8割が「自分は被害に遭わないと思っていた」と回答しているデータは、正常性バイアスこそが最大のセキュリティホールであることを示唆しています。

オートロック神話の崩壊と「攻めの防犯」

「犯罪組織は、騙しやすい相手を徹底的に分析している」

そう警鐘を鳴らすのは、元埼玉県警捜査一課警部補で防犯アドバイザーの佐々木成三氏です。これから迎える年末年始は、日没が早く、現金の動きや人の出入りが活発になるため、住宅侵入等のリスクが年間で最も高まる時期とのこと。

佐々木氏は特に、都市部のマンション居住者が陥りやすい「オートロックがあるから安全」という誤解を指摘します。

最近では、住人の背後に密着して侵入する「共連れ」や、配達員に変装して堂々と入り込み、ターゲットを物色する手口が横行。エントランスのセキュリティだけに依存せず、自室の玄関先でいかにリスクを排除できるかが重要です。

そこでキーワードとなるのが「能動的な自衛」です。侵入されてから対処するのではなく、犯行を未然に諦めさせる環境作りが求められます。

家電・IoTで構築する多層的セキュリティ

パナソニックが提唱するのは、最新の家電やIoT機器を活用した「住まいの要塞化」。工事不要で導入できる機器を組み合わせることで、以下の3段階の防衛ラインを構築できます。

1. 予兆による抑止(アプローチさせない)

在宅・不在に関わらず、犯人に「ここは隙がない」と思わせることが第一歩です。
例えば、設定時刻に自動で点灯・消灯するLEDシーリングライトを活用すれば、不在時でも在宅を装うことができます。また、固定電話機(VE-GD78DLなど)においては、着信前に「通話を録音する」旨のアナウンスを流す機能が有効です。証拠が残ることを嫌う犯人を、受話器を取る前の段階で撃退します。

2. 視覚と音声による威嚇(玄関先での排除)

不審者が敷地内に立ち入った際の対策も進化しています。

最新の屋外カメラ(VL-CV100K)は、センサー検知と連動して室内のモニターに通知を送るだけでなく、スピーカーを通じた声掛けが可能です。佐々木氏によれば、カメラ越しに「コラー!」と声を掛けることで侵入を阻止した事例もあり、音声による威嚇は極めて有効だといいます。

また、テレビドアホンも広角化が進んでいます。最新モデル(VL-SWZ700シリーズ)は左右約170度・上下約100度の画角を持ち、カメラの死角に隠れた不審者も視認可能です。これらをスマートフォンと連携させれば、外出先からでもリアルタイムで来客対応や監視ができます。犯人が想定する以上の画角があり、これはいいなと個人的にも思いました。

3. 侵入の即時検知(最終防衛ライン)

万が一、窓からの侵入を試みられた場合には、開閉センサー(KX-HJS100)が作動します。窓が開いた瞬間に報知音が鳴り響き、連携したドアホンや電話機へ即座に通知。別の部屋にいても異常を把握でき、迅速な通報などの初動対応時間を確保します。

セキュリティは「導入」から「運用」へ

2025年の防犯対策において重要なのは、単に機器を導入することではなく、それらを連携させ、自分のライフスタイルに合わせて運用することです。
ワイヤレスで手軽に設置できるドアホン(VS-SGZ20L)など、賃貸や既存住宅でも導入のハードルは下がっています。「自分だけは大丈夫」という根拠のない自信を捨て、テクノロジーを味方につけた具体的な対策を講じることが、資産と安全を守る唯一の手段と言えるでしょう。

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