「1日1分の全力運動」で死亡リスク約4割減 運動不足に救世主

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「健康のために運動しなきゃ…でも、忙しくてジムに行く時間なんてない」
多くの現代人が抱える「運動不足」の悩み。そんな多忙な人々に、まさに朗報と言える研究結果が発表されました。

まとまった運動時間を確保しなくても、日常生活の中での「たった1分強」の短く激しい活動を積み重ねるだけで、死亡リスクを大幅に下げられる可能性があるというのです。

日常生活に潜む「高強度の運動」とは?

この研究は、シドニー大学のエマニュエル・スタマタキス教授が主導し、「普段、特に運動はしていない」と回答したアメリカ人の活動データをウェアラブル端末で追跡しました。

研究チームが注目したのは、「VILPA(ヴィルパ)」と呼ばれる、日常生活の中で発生する短時間の激しい身体活動です。具体的には、

バスに間に合うように駆け込む

重い買い物袋を持って階段を駆け上がる

急な坂道を速足で登る

といった、息が上がり心拍数が明確に上昇するような、1分未満の「全力を出す」瞬間のことです。

たった1分強の「チリツモ」が大きな差を生む

分析の結果は、まさに「チリツモ(塵も積もれば山となる)」効果を裏付けるものでした。

1日合計約1.1分でリスクが約4割減
VILPAの合計時間が1日平均わずか1.1分だった人々は、全く行わない人々と比べて、全死亡リスクが約39%も低いという驚くべき結果が出ました。(※ハザード比0.61を基に算出)

10秒程度の全力疾走を1日5〜6回
この効果の大部分は、1回10秒程度の短い活動を1日に5〜6回行うことで得られていました。

スタマタキス教授は、「VILPAは、日常生活にHIIT(高強度インターバルトレーニング)の原則を応用するようなものです」と説明しています。

なぜ「最初の少し」が最も重要なのか

この研究が示すもう一つの重要なポイントは、健康への効果が「ゼロから少し」へ移行する際に最も大きく現れるという点です。

これまで全く運動習慣がなかった人が、日常生活の中でほんの少しだけ「全力を出す」意識を持つだけで、健康状態に最も大きなプラスの変化が生まれるのです。これは、運動へのハードルを劇的に下げてくれる、非常に心強い発見と言えるでしょう。

「スキマ時間」を健康に変える意識を

もちろん、この研究は観察研究であり、「短時間の激しい活動が直接的に死亡リスクを下げた」と断定するには、さらなる検証が必要です。しかし、運動不足が社会問題化する中で、非常に価値のある視点を提供してくれます。

特別な運動時間を確保しようと意気込む必要はありません。

エレベーターではなく階段を使い、少しだけ速く登ってみる。

通勤中に、一駅手前で降りて、その区間だけ早歩きをしてみる。

こうした日々の「スキマ時間」で、意識的に体を激しく動かす瞬間を少しだけ増やすこと。そんな「チリツたも」の健康法こそが、忙しい現代人にとって最も現実的で、効果的な解決策になるのかもしれません。

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