アメリカ人、年収1800万円でも『最低限の生活』 データが暴く米国の厳しい現実

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「アメリカン・ドリーム」はもはや過去の遺物となりつつあるのかもしれない。米国民の大半が、高騰し続ける生活費のために「最低限度の質の高い生活」すら享受できていないという、衝撃的な研究結果が明らかになった。

この調査は、経済的繁栄の共有を目指す研究機関「ラドウィッグ研究所(Ludwig Institute for Shared Economic Prosperity)」が発表したもの。同研究所は、「最低限度の質の高い生活(Minimal Quality of Life – MQL)」を、住居、食費、交通費、衣料費、医療費、そして基本的な娯楽費という「アメリカン・ドリームに不可欠な要素」を賄える能力と定義している。

注目すべきは、この定義にケーブルテレビやストリーミングサービスへのアクセス、さらには年間で映画館に6回、野球観戦に2回行けるといった具体的な娯楽費まで含まれている点だ。研究者らは、MQL指数が「従来のアメリカの生活費の指標を超え、アメリカン・ドリームへの梯子の最初の一段を確保し、時間をかけてそれを登っていく機会を得るために、一体何が必要なのかをより包括的に理解する」ためのものだと述べている。

所得下位60%が基準に届かず

調査が導き出した現実は厳しい。所得で下位60%にあたるアメリカの世帯が、この「最低限度の質の高い生活」を送るための基準を全く満たしていないことが判明したのだ。

研究報告書は、「MQL指数は、幸福、社会的つながり、そして成功への道を約束するアメリカン・ドリームが、多くの人々にとって手の届かないものになっているという厳しい現実を明らかにしている」と結論付けている。「住宅、医療、教育といった必要不可欠な分野でのコスト上昇は、賃金の伸びを大幅に上回り、何百万人もの人々が最低限の生活水準を達成することさえ困難な状況に置かれている」

具体的には、子どもが2人いる平均的なアメリカ人夫婦がMQLを満たすためには、年間で12万302ドル(約1800万円)の支出が必要になると試算されている。

過去20年で急騰した生活費

この苦境の背景にあるのが、過去20年間にわたる驚異的な物価の高騰だ。特に医療費(保険料)は2001年から2023年の間に301%も上昇した。

同時期に、交通費、食料品費、そして育児費用も軒並み平均50%以上の価格上昇を記録している。

この研究結果を受け、ファイナンシャルプランナーのローラ・リンチ氏は、米CNBCの取材に対し、「『スターバックスのラテを我慢しろ』といったアドバイスにはうんざりします。現実には、これは個人の責任ではないのです」と語る。「私たちを取り巻く社会構造が、人々にとってますます達成不可能になりつつあるライフスタイルへの期待感を生み出してしまっているのです」

この調査は、個人の努力や節約だけでは乗り越えられない構造的な問題が、アメリカ社会に深く根を張っていることを示唆している。「アメリカン・ドリーム」の実現が、かつてないほど困難な時代に突入したことを、データは冷徹に突きつけている。

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