中国、核兵器による小惑星防衛を提唱 – 宇宙開発の野望と国際社会への影響は?

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中国の研究者たちは、地球に壊滅的な被害をもたらす可能性のある小惑星の衝突から地球を守るため、核兵器の使用が最も効果的な手段であるとの見解を示しました。

この研究は、中国の深宇宙探査プログラムの一環として行われたもので、特定のシナリオにおいては核兵器だけが小惑星の軌道を変更できる可能性があることを示唆しています。

ただし、宇宙空間での核兵器の使用は国際法で禁止されており、核降下物による宇宙汚染のリスクも懸念されています。

研究者たちは、これらの課題を認識しつつも、人類を潜在的な終末イベントから守るためには、長期的な戦略の策定と核ベースの防衛への投資が不可欠であると主張しています。

小惑星の脅威とは?

地球近傍天体(NEO)とは、地球の軌道の4500万km以内に入る天体のことを指します。さらに、750万km以内に接近し、直径が140mを超えるものは、「潜在的に危険な天体(PHO)」と呼ばれます。

これらの天体の多くは未発見のままであり、地球への衝突リスクが懸念されています。NASAなどの宇宙機関は、これらの天体の探索を積極的に行っており、毎年数百個を発見しています。しかし、小惑星は小さく、暗いため、特に太陽の方向から接近してくると発見が困難です。

直径1km以上の小惑星は、地球規模で壊滅的な被害をもたらす可能性があり、核戦争に匹敵する「核の冬」のような気候変動を引き起こす可能性もあります。これまでに、このような巨大な小惑星は854個発見されていますが、未発見のものが多数存在すると考えられています。

小惑星をそらす実用的な方法

中国の研究者たちは、地球を守るために必要ないくつかの重要な技術を強調しています。これには、7日から1か月という短期間で地球から核弾頭を打ち上げ、小惑星に命中させる能力、長距離移動後も100m以下の誤差で正確に攻撃する能力、宇宙空間で核弾頭を10年以上保管する能力などが含まれます。

検出技術の進歩により、カタログ化された地球近傍天体の数は3万個以上に増加しました。

研究チームのリーダーである張氏は、「発見された地球近傍小惑星の数は、実際に存在する数よりもはるかに少ない可能性がある」と述べています。

科学者やエンジニアにとって最大の課題は、小惑星の軌道を変更する実用的な方法を見つけることです。

唯一の防御策としての核?

張氏らは、運動エネルギー衝突、ロケットやプラズマエンジンの設置、カタパルトなどの発射装置の使用、集束太陽光や高出力レーザーの使用など、小惑星の軌道を変更する様々な方法を評価しました。

その結果、小惑星が衝突まであと1週間しかない場合、核兵器が人類にとって唯一実行可能な防御策であることが示されました。TNT換算100万トンの核弾頭は、直径50mの炭素質小惑星をそらすことができます。しかし、より大きな、または主にケイ素で構成される小惑星の場合は、より強力な弾頭または複数のミサイルが必要になります。

これまでに試験された最大の核弾頭は、TNT換算5000万トンの威力を持っています。衝突まで15年の猶予があれば、より小さな核爆発でも、小惑星のサイズや組成に関係なく、脅威を効果的に排除できる可能性があります。

中国の宇宙開発の野望を反映?

中国の研究者が核兵器を用いた小惑星防衛を主張していることは、同国の宇宙開発における野心的な姿勢を反映している可能性があります。中国は近年、月探査や火星探査など、宇宙開発において目覚ましい進歩を遂げています。今回の研究発表は、宇宙における安全保障分野でのリーダーシップをアピールし、宇宙強国としての地位を確固たるものにしようとする意図も読み取れます。

また、核兵器の使用を肯定的に捉える姿勢は、国際社会における議論を呼び起こす可能性があります。宇宙空間での核兵器の使用は、軍拡競争を激化させ、宇宙の平和利用を阻害するとの懸念もあります。中国は、今回の研究発表を通じて、宇宙における安全保障に関する国際的な議論を主導し、自国の主張を反映させたルール作りを目指しているのかもしれません。