子の身長が伸びないそんな悩みにお役立ち 低身長症と治療の最新動向

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子供本人、そして親にとっても発育期に我が子の身長が伸びないというのは悩みの種。その中には「低身長症」と呼ばれ、病気として位置づけられるものもあることはご存知ですか? 

そうした低身長症とその治療にまつわる最新情報を紹介するオンラインセミナー「知っておきたい十人十色の子どもの低身長 ~身長を伸ばす生活習慣から成長障害の最新治療まで~」が4月19日に行われました。身長を伸ばす生活習慣から最新治療まで、子供の成長と低身長症に関する最新情報を講師の皆さんから紹介。我が子の発育が気になる親にとって、大いに参考になる情報が公開されました。

最初の講演は、希望の森成長発達クリニック院長の望月貴博先生による「知っておきたい、子供の成長障害〜身長のサイエンス 科学的に正しい知識と通説の違い〜」。

身長の高低は単なる見た目だけでなく、中には自衛官や警察官など身長が募集要項に含まれている職種もあったり、「男子は1センチ身長高くなると時間当たり賃金は約1.5%高くなる」というデータをあったりと社会的な影響もあり、「身長なんて関係ないよ」とは一概には言えません。

身長を伸ばすためにいろんな通説や商品を試してみる人も多いでしょう。この真偽はいかに? たとえば「牛乳を飲むといい」という通説。これは望月先生によると、9〜11歳の間に牛乳を1日1杯未満の子と平均3杯飲む子では身長に1センチ近くの差が出た、というデータもあるそう。また「よく食べることが大切」という説に対しては、量よりも栄養のバランスを取りながら肥満度を上げすぎないことが重要というのが望月先生のアドバイスです。

牛乳などがそれなりに意味があるのに対し、疑問が大きいのが「身長が伸びる」を売りにしているサプリや食品。確実に背を伸ばすサプリや商品等はなく、あくまでイメージさせる商品でしかないとか。悩みがあると藁にもすがりたくなるもの、とはいえやはりお医者さんなど専門知識のある人からの情報をベースにしたいものです。

続いての講演はたなか成長クリニック副院長の曽根田瞬先生による「低身長症と治療の最新動向」。まず「低身長」とされる医学定義は「身長が-2.0SD以下」。SDとはStandard Deviation(標準偏差)を意味し、計測する母数の全体の身長が低い人から2.3%にあたる人が低身長とみなされます。

その中でも病気として認められたものが「低身長症」です。身長が低い理由には家族性低身長・思春期性遅発型低身長・体質性低身長など病気とは考えにくいものもある一方で、病として認められたものにはホルモンの病気(内分泌疾患)・先天性疾患、またSGA性低身長症など幅広い要因があります。

統計によると低身長で受診した患者の63.3%が「病気にあたらない」のだとか。残りのうち15.3%が内分泌疾患、9.1%が先天性疾患、8.5%がSGA性低身長症、3.8%がその他というデータがあります。

曽根田先生の講演では、低身長症の要因として最多である15.3%の内分泌疾患、そのうち14.5%を占める「成長ホルモン分泌不全性低身長症」について解説が行われました。ある日を境に急に成長曲線が鈍くなるこの症状、現在の治療法は毎日注射を打つことがポピュラーです。ただ、自宅で自ら打てる注射とはいえ、毎日ともなると手間はもちろん心理的にも負担がかかるというもの。

しかし2022年1月20日、これまでの週7回打たなければいけなかった注射を週1回に減らすことが出来る新たな成長ホルモン製剤・エヌジェンラ皮下注ペンが日本での製造販売承認を取得しました。七分の一にまで減らすこの製剤は、成長ホルモン分泌不全性低身長症における大きな前進を示してくれました。

続いてファイザー株式会社希少疾病領域メディカルフェアーズ嶋大輔氏より、「小児低身長患者の治療負担軽減に向けた取り組み〜治験のキーポイントを踏まえ〜」と題して、週7回の注射を週1回にまで減らすことに成功した成長ホルモン製剤・エヌジェンラ皮下注ペン(一般名:ソムアトロゴン)について解説が行われました。

それまでのホルモン製剤に比べてエヌジェンラは回数を減らしただけでなく、臨床実験でその効果においても優位が認められており、負担感も圧倒的に低下と、その将来性に大きな期待がかけられています。

思春期のお子さんには悩める人もいる低身長、こうした医学的な視点から見ることは重要です。低身長症に対する製剤の進化を見ても、その解決に前進していることがわかります。いずれこうした医学の進歩が身長の悩みをなくしてくれることを期待したいですね。