喪中はがきに「コロナ禍」は禁句? 仏事関連総合サービスの株式会社メモリアルアートの大野屋(東京都新宿区、代表取締役社長奥田実)が紹介している「喪中はがき」についてのマナーや注意点が興味深い。
「喪中」と「忌中」は期間を示す
近親者が亡くなった場合に一定の期間、故人の死を悼み喪に服す期間のことを「忌中」「喪中」と呼ぶ。またこれは期間を示すもので、父母の死亡に際してなら「忌中」は七七忌(四十九日)まで、「喪中」は一周忌(一年間)を一般には示す。
「49日忌」までは、お祝い事への出席は見合わせたほうが無難と言われており、神社への参拝や、お祭りへの参加も慎むという。また、喪中に年を越す場合には、門松・しめ縄・鏡餅などの正月飾りを控えるのが一般的だ。
亡くなった人が配偶者や1親等(父母、子供)の場合は1年間を喪中とする場合が多い。2親等(祖父母・義祖父母・兄弟姉妹・義兄弟姉妹)の場合は、兄弟は亡くなって90日、父方の祖父母は150日、母方の祖父母は90日が一般的。また故人が3親等以上(曾祖父母、伯父叔母、いとこ)なら、喪中にしない場合が多い。
「喪中はがき」って何?
「喪中はがき」とは、自分の身内に不幸があり、年賀状による挨拶を控える旨をお知らせするための挨拶状。いつも年賀状のやり取りをしている相手には、向こうが年賀状を用意する前に知らせるため、遅くとも12月の上旬までに送付するのがマナー。
そんな「喪中はがき」を出す基準は、毎年、年賀状を出しているかどうか。友人や知人で、年賀状のやりとりがなければあえて「喪中はがき」を出す必要はない。
また仕事関係の取引先など「会社名」で年賀状を出す場合は、仕事は“公”と考えて、出さないのが通例。喪中という概念がないため、例年通り年賀状を出して問題ないという。
では葬儀に参列した人は、既に亡くなったことを知っているわけだが、それでも例年年賀状を出しているのであれば喪中はがきを送る。
また故人が年賀状のやりとりをしていた相手がいれば、故人に代わり自分が差出人となって喪中はがきを出す。文面としては、「父(母)が●日〇歳で、亡くなりました。生前は大変お世話になりました」と書く。
「喪中はがき」はメールやSNSを代わりに使っても?
大野屋が1995年から開設するテレホンセンターは、葬式や仏壇、墓のことから、仏事のマナーやお盆など季節の仏事のしきたりにいたるまで、専門の相談員が年中無休、無料で相談に乗ってくれるというもの。
ここで最近増えている相談が、「喪中はがき」はメールやSNSで済ませても良いかというものだ。そこでの回答としては、普段から頻繁にメールやSNS上でやり取りしている相手なら問題なく、毎年年賀状をやり取りしている相手や、メールアドレスや連絡先を交換したきり、連絡を取っていないような相手に対してはNGだというもの。
あくまで、相手の世代や背景などを考慮し、相手との関係性や付き合いの深さによって判断するべきだという。
今年は新型コロナウイルスの影響により、「コロナ禍」というワードが一般的になったが、この「禍」は忌み言葉(特定の場面での使用を控える不吉な意味の語)であるため、年賀状には避けるべき表現。特に今年は新型コロナウイルスにより、なにかと暗い世相となったので、内容も「元気」「健康」を願う表現を多く使用し相手を慮ることが重要だ。
【参考】
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