21日、厚生労働省の研究班が、市販の健康食品の約4割が薬の効き目を悪くさせる、という研究結果を発表した。
人間の体には、薬や毒の成分を分解、排出する働きを持つ「薬物代謝酵素」があるが、その、4割の健康食品はこれを促進する効果があるのだという。
健康のためなら何でもやるとばかりに健康食品を積極的に採っていたのに、かえって不健康になってしまう。そんな話はよく聞かれるが、その原因の一つには、今回の研究結果のようなこともあると思われる。
「健康食品の多くは、体に効きそう、というイメージ先行で、実際は大した効果のないものがほとんど。それでも健康食品は売れるんです。健康食品を扱う業者は羽振りがいいのはテレビを見ていれば一目瞭然ですよね」と話すのは、健康食品に関するトラブルに詳しいジャーナリスト。
「若くて元気なうちは、「なんでこんなわざとらしいCMで売れるんだろう」なんて思うのが普通ですよ。でも、あれはよくできたビジネスなんですよ。年をとって体にガタがくると、飲まないよりはマシ、効けばしめたもの、ぐらいの気持ちでついついああいった健康食品に手を出してしまう。そして、全然効き目がなくても、プラセボ効果で体がよくなっちゃったり、その健康食品とは関係なくタイミングよく自然と持病が改善したりする人が一定数いるわけです」(前出のジャーナリスト)
そういった人たちが喜びの声を寄せたり、まわりに薦めたりすることで、お得意さんがどんどん増えていく。一度効いたと思い込むと、一生買い続ける人も少なくない。
「そして売れて知名度が上がってくると、それまで信用していなかった人でも不思議と「効き目がゼロではないんだろう」なんて気がしてくるんです。結局、健康食品で一番重要なのは「いかに体にいいと思い込ませることができるか」ですよ。それで買った人が幸せになるんならまあそれでもいいという話もありますが、値段が法外だったり、たまに体に悪いヤツもあったりするからタチが悪いですね」(同)
今、ドキュメンタリーを装った健康食品の通販番組を笑っているアナタも、10年後は喜びの声を寄せているかもしれない。まあそれで幸せなら別にいいのだが……。
(文/林田卓夫)