固定費の見直しは、毎月の定期支出の一覧をChatGPTに貼り、解約、下位プラン、安い代替、共有、交渉、支払い頻度の6つの観点で仕分けさせると速い。Tom’s Guideの記者はこの方法でサブスク3件を月59.85ドルから18.12ドルに減らした。2026年9月13日の記事である。
本稿では記者が使った7つのプロンプトを日本語に訳し、日本のNetflixの料金に当てはめるといくら変わるかまで見ていく。
記者が貼った6件、ChatGPTが切った3件
Tom’s GuideでAIを担当するElton Jonesは、デビットカードとクレジットカードの支出をすべて点検する習慣がある。毎月末に定期的な支出を書き出す。きっかけは動画配信サービスの相次ぐ値上げだった。本当に今のプランのままでいいのか。安いプランに移るべきか。それをChatGPTに相談した。
Jonesが伝えた定期支出は6件。Patreonが12ドル、HBO Maxが18.49ドル、Netflixが21.76ドル、HuluとDisney+のセットが76ドル、Crunchyrollが10.88ドル、信用情報サービスのExperianが27.21ドルだった。
ChatGPTは、どれを下位プランに落とし、どれを解約するかの提案を並べた。Jonesが真剣に検討したのは3件である。Netflixはスタンダードを広告つきスタンダードに。Crunchyrollは月額を年額のFanプランに。Experianは無料プランに。
結果、3件の合計は月59.85ドルから18.12ドルになった。
ただしJonesは提案を鵜呑みにしていない。Netflixについては、広告つきプランの広告の頻度と、広告つきでは見られない作品の一覧を自分で調べた。見られない作品に興味がなく、多少の広告は許容できる。そう判断してから切り替えた。Experianを無料にしたのも、Chase銀行の口座で無料の信用スコアが見られるという自分の事情があったからだ。
提案はAI、判断は人間。この順番が、記事の全体を貫いている。
「サブスク殺し」の中身
Jonesが使ったのは、7つのうち「The Subscription Killer」と名づけられたプロンプトだった。訳すとこうなる。
「毎月支払っているものの一覧はこれだ。[サブスクと定期支出を貼る]解約できるもの、下位プランに落とせるもの、安い代替に替えられるもの、共有できるもの、交渉できるもの、支払い頻度を減らせるものを見つけてほしい。提案ごとに月と年の節約額を見積もること。生活の質にほとんど影響しない変更を優先すること」
要点は2つある。ひとつは、仕分けの観点を6つ先に与えていること。解約か継続かの二択ではなく、下位プラン、代替、共有、交渉、支払い頻度という逃げ道を用意している。もうひとつは、「生活の質にほとんど影響しない変更を優先」という制約だ。これがないと、AIは全部やめろと言う。
意外な点をひとつ書いておく。この7つのプロンプトは、Jonesが考えたものではない。記事によれば、Jonesは最初にChatGPTに「自分や他の人が節約できるような質問のリスト」を作らせた。つまりChatGPTが自分に投げるべき質問を、ChatGPT自身に書かせている。
残り6つのプロンプト
以下は記事に掲載された残りのプロンプトの訳である。角括弧の中を自分の情報に置き換えて貼る。
「金漏れ探し」。生活を惨めにせずに毎月できるだけ節約したい。月の支出はこれだ。[支出を貼る]容赦ない節約の専門家として分析し、支出を減らせる大きな機会を10個挙げ、現実的に節約できる額の順に並べ、簡単にできるものと犠牲が要るものを分けること。「支出を減らせ」のような一般論はいらない。今月取れる具体的な行動を示すこと。
「500ドルチャレンジ」。今月あと500ドル節約する現実的な方法を見つけてほしい。この支出を分析し、[支出を貼る]30日間の具体的な節約チャレンジを作ること。500ドルの目標を個々の行動に分解し、各行動でいくら節約できるかを示し、簡単なものを優先すること。稼ぎたいのではなく、使うはずだった金を残したい。
「食費削り」。食事の質を落とさずに食費を減らしたい。普段買っているものと金額はこれだ。[買い物リストと予算を貼る]無駄な支出の大きな原因を見つけて、より安い買い物戦略を作ること。具体的な代替品、安い献立、まとめ買いの機会、買うのをやめるべきものを提案し、月の節約目標額を出すこと。
「安い代替探し」。定期的に金を使っているものの一覧を貼る。それぞれについて、ほぼ同じ便益をより安く得る方法を見つけてほしい。無料の代替、安いブランド、すでに持っている会員資格、図書館、中古や整備済み品、自作、すでに使える権利のあるサービスを考慮すること。安いというだけで劣った代替を勧めないこと。節約額と手軽さの組み合わせで順位づけすること。
「支出の尋問官」。必須でないものを買う前に、その購入に異議を唱えてほしい。品物と価格を伝えたら、本当に必要かを見極める質問をすること。買った場合の機会費用を計算し、適切なら安い代替を提案し、買わなければいくら残るかを示すこと。購入を後押しするのではなく、正直で懐疑的であること。
「貯蓄の自動操縦」。貯蓄をできるだけ自動にしたい。月収[金額]、固定費[金額]、変動費[金額]、負債[金額]、現在の貯蓄[金額]をもとに、貯蓄額を最大にする簡単な月次の仕組みを設計してほしい。何を自動化するか、どの支出に上限を置くか、給料日ごとにいくら取り分けるか、どの支出カテゴリを監視すべきかを示すこと。実際に続けられる現実的な仕組みにすること。
7つに共通するのは、「一般論はいらない」「具体的な行動を」「額を見積もれ」と、毎回念を押している点だ。ChatGPTは放っておくと「無駄遣いを減らしましょう」で終わる。それを禁じる一文が、プロンプトの半分を占めている。
日本のNetflixなら、月700円
Jonesの数字は米国の請求額なので、日本に置き換えてみる。
Netflixの日本の料金は、公式ヘルプによれば広告つきスタンダードが月額890円、スタンダードが1,590円、プレミアムが2,290円である。地域によって別途税金がかかる場合があると注記されている。
Jonesがやったのと同じ、スタンダードから広告つきスタンダードへの変更なら、差は月700円。年に8,400円になる。プレミアムから広告つきに落とせば月1,400円、年16,800円だ。
ここで注意がひとつある。ChatGPTは日本の各サービスの現在の料金を正確には知らない。Jonesも米国の料金を自分で調べている。プロンプトに支出を貼るときは、金額だけでなく「今どのプランか」「他にどんなプランがあるか」を公式サイトで確認して一緒に貼ったほうが、提案の精度は上がる。AIに調べさせるのではなく、調べた材料をAIに渡す。それがJonesのやり方だった。
AIに任せていい部分と、任せてはいけない部分
家庭の固定費は、家賃や住宅ローン、通信費、保険料、サブスク、光熱費の基本料金といった、毎月ほぼ同じ額が出ていくものを指す。変動費と違って一度見直せば効果が続くため、家計の見直しは固定費から始めるのが定石とされる。
ChatGPTが得意なのは、この一覧を6つの観点で機械的に仕分け、見落としを拾い、額を並べることだ。人間は自分の契約を全部は覚えていない。Jonesが6件を書き出せたのは、毎月末に点検する習慣があったからである。
一方、AIに任せてはいけないのは判断だ。広告に耐えられるか。見られなくなる作品に未練はないか。無料プランで本当に足りるか。これらはJonesが自分で調べ、自分で決めた。保険や通信契約のように、解約に条件や違約金がつくものはなおさらである。提案を受けたら、契約書と公式サイトで確認してから動く。家計に関わる判断は、必要ならファイナンシャルプランナーなど専門家にも相談してほしい。
月59.85ドルが18.12ドルになった話の本当の要点は、AIが賢かったことではない。書き出して、貼って、提案を疑って、自分で調べた。その4段階を踏んだ人間が、41ドル73セントを取り戻した。
よくある質問
家庭の固定費とは何か
家賃や住宅ローン、通信費、保険料、動画や音楽のサブスク、光熱費の基本料金など、毎月ほぼ同じ額が自動的に出ていく支出を指す。食費や交際費のような変動費と違い、一度見直せば効果が毎月続く。
固定費の見直しはどこから始めればよいか
まず定期支出を全部書き出す。Tom’s Guideの記者は6件のサブスクを一覧にしてChatGPTに貼り、解約、下位プラン、安い代替、共有、交渉、支払い頻度の6つの観点で仕分けさせた。提案を受けたあと、広告の頻度や見られない作品を自分で調べてから、3件を変更した。
ChatGPTに家計の情報を貼っても安全か
サービス名と月額のような情報で仕分けは十分できる。口座番号やカード番号、氏名や住所といった個人情報を貼る必要はない。記事の記者も、貼ったのはサービス名と金額だけである。
サブスクの見直しはどのくらいの頻度でやるべきか
記事の記者は毎月末に定期支出を書き出している。毎月が難しければ、値上げの通知が来たときや、年額プランの更新前に一覧を見直すだけでも、使っていないサービスは見つかる。