「すごい!」「行ってみたい!」と思われるような、特別な一枚を撮りたい。SNS、特にインスタグラムの普及で「インスタ映え」を狙った写真撮影は、今や当たり前の文化になりました。
しかし、その「特別な一枚」を求めるあまり、危険を顧みない人々が後を絶ちません。アメリカのある法律事務所が、「危険な自撮り(セルフィー)」による死傷事故に関する衝撃的な調査結果を発表しました。一体どの国で、悲しい事故が多発しているのでしょうか。
衝撃の調査結果:「危険な自撮り」大国はどこ?
この調査は、2014年3月から2025年5月までの約10年間に、Googleニュースで報じられた自撮り関連の死傷事故を集計したものです。その結果、ワースト1位から3位は以下のようになりました。
第1位:インド
全世界で起きた自撮り関連の事故のうち、実に42.1%がインドで発生。報告された271件の事故で、214人が死亡、57人が負傷しています。研究者は、断崖絶壁や線路といった危険な場所にアクセスしやすい環境、強いSNS文化、そして人口の多さが複合的に影響していると分析しています。
第2位:アメリカ
インドに次いで多かったのはアメリカで、合計45件の事故が発生。37人が死亡、8人が負傷しました。
第3位:ロシア
3位はロシアで、19件の事故で18人が死亡、1人が負傷しています。
このほか、パキスタン、オーストラリア、インドネシア、ケニア、イギリス、スペイン、ブラジルがトップ10に名を連ねており、この問題が世界的な広がりを見せていることが分かります。
なぜ人は危険を冒してまで「自撮り」をするのか?
調査を行った法律事務所の創設者であるクリス・バーバー弁護士は、その動機について次のように語ります。
「私たちの調査は、SNSで認められたいという欲求が、文字通り人々の命を奪っているという悲惨なトレンドを浮き彫りにしました。完璧な写真一枚に、命を危険に晒すほどの価値は絶対にありません。」
彼はさらに、「美しい瞬間を撮る方法は、危険を冒さなくても必ずあります。どれほどの『いいね!』やシェアを集めたとしても、あなたの命と引き換えにできるものではありません」と強く警鐘を鳴らしています。
日本は大丈夫?他人事ではない「インスタ映え」の落とし穴
幸い、今回の調査のトップ10に日本の名前はありませんでした。しかし、だからと言って安心はできません。
日本でも「インスタ映え」を狙うあまり、立ち入り禁止の場所に侵入したり、崖の先端でポーズをとったり、線路内で撮影したりといった危険行為は後を絶ちません。一歩間違えれば、同じような悲劇につながる可能性は十分にあります。
最高の「インスタ映え」ショットを狙ってシャッターを押す前に、一瞬だけ立ち止まって、自分の足元や周囲の安全を確認する。そのわずかな注意が、あなたの命を守ります。最高の思い出は、無事に生きて帰ってこそ語れるものだということを、決して忘れてはいけません。