手作り料理はジャンクフードの2倍やせる、理由は「美味しくないから」

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健康のために、栄養成分に配慮した「ヘルシー」な冷凍食品やプロテインバーを選ぶ。忙しい現代人にとって、こうした選択はごく当たり前のものになっています。

しかし、「たとえ栄養基準を満たしていても、超加工食品(※)はやはり手作りの食事には及ばないのかもしれない」――。そんな事実を示唆する、イギリスで行われた最新の研究が大きな注目を集めています。(※ 超加工食品とはソーセージ、ハム、スナック菓子、清涼飲料水、菓子パン、インスタント食品、冷凍食品など複数の食材を工業的に配合して製造された、加工の程度が非常に高い食品のこと)。

この研究は、超加工食品に関するものとしては、これまでで最も大規模かつ長期間にわたる臨床試験であり、その結果は多くの専門家を驚かせました。

「ヘルシー対決」研究の驚くべき内容

学術誌『Nature Medicine』に掲載されたこの研究は、過体重の男女55人を対象に行われました。研究のユニークな点は、その比較方法にあります。

手作り食(未加工・最小限の加工):野菜や果物、肉、卵など、自然の状態に近い食材から調理した食事(例:自家製ミートソースのパスタ)

健康的な超加工食品:国が定める栄養ガイドライン(十分な食物繊維、低塩分、低糖質、低脂肪など)を満たすように特別に選ばれた、市販の超加工食品(例:朝食バー、調理済みラザニア)

参加者は、これら2種類の食事をそれぞれ8週間ずつ、好きなだけ食べて過ごしました。つまり、「不健康な超加工食品」と「健康的な手作り食」の比較ではなく、「健康的な超加工食品」と「健康的な手作り食」の直接対決だったのです。

その結果は、明確でした。
両方のグループで体重は減少しましたが、「手作り食」を食べていたグループは、「健康的な超加工食品」のグループに比べて、2倍も多く体重を減らしていたのです。

なぜ差がついたのか?カロリー摂取量と「味」の謎

この差を生み出したのは、参加者が自発的に摂取したカロリー量の違いでした。

「手作り食」のグループは、知らず知らずのうちに1日の摂取カロリーが平均で約290キロカロリーも少なくなっていたのです。

専門家が指摘する興味深い可能性は、その「味」にあります。参加者への聞き取り調査では、意外にも「手作り食のほうがおいしくなかった」という評価が下されました。食べ慣れた市販の食品に比べて味が薄かったり、食感が物足りなかったりしたのかもしれません。

皮肉なことに、この「おいしくない」という感覚が、無意識のうちに食べる量を減らし、結果として大きな体重減少に繋がった可能性があるのです。

コレステロール値の不思議な結果と、専門家の見解

しかし、この研究にはもう一つ、驚くべき結果がありました。
それは、「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールの値が、意外にも「健康的な超加工食品」のグループのほうで、より大きく減少したことです。

これについて専門家は、「食品が国の定めた健康基準をすでに満たしている場合、心臓の健康に関する特定の指標(コレステロールなど)においては、加工の度合いはそれほど重要ではないのかもしれない」と指摘しています。

つまり、問題は単純ではないということです。

私たちが選ぶべき食事とは?

この研究は、私たちに重要な教訓を与えてくれます。

体重管理においては、たとえ「健康的」であっても、超加工食品より手作り食のほうが効果的である。

コレステロールなど特定の健康指標においては、加工度よりも、食品が「低脂肪・低糖質・低塩分」といった栄養基準を満たしているかどうかが重要である。

結論として、専門家が推奨するのは、「加工度に関わらず、栄養成分表示をよく読むこと」です。

塩分、脂肪、糖質が少なく、食物繊維が豊富な食品を選ぶ。これが健康的な食生活の基本です。しかし、もし体重を効果的に減らしたいのであれば、やはり食材の原型がわかるような、加工度の低い食事を心がけることが、一番の近道だと言えるでしょう。

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