中国の人気漫画スタジオ、家畜小屋でアシスタントを強制労働と告発 病気になっても病院行かせてもらえず

中国で有名な漫画スタジオ「A-soul」が、劣悪な労働環境が告発され、大きな問題になっています。

A-soulは、中国の北京通州に拠点を置く漫画スタジオで、漫画家の極楽鳥、HeHe、Dr.大吉、韓超などの著名な漫画家が所属しており、現在70人以上のメンバーが活動しています。

中国の漫画スタジオは、会社組織で漫画を制作することが多く、A-soulのように数十人規模のスタジオも珍しくありません。漫画家はスタジオに所属し、チームで作品を制作します。そのため、分業体制がとられ、作画、背景、彩色など、それぞれの工程を専門のスタッフが担当します。

A-soulは、独自の創作スタイルで多くの漫画家やファンを引きつけており、国内の様々な雑誌やオンラインメディアで活躍しています¹。代表作には『早安地球』や『単細胞』などがあり、特に若い世代に人気があります。

そんな、A-soulは作品ではなく、漫画家の待遇や労働環境に関する問題で、現在注目を集めています。

元従業員によると、そこはまるで「奴隷工場」のようだったそうです。家畜小屋を改造した寮に住まわされ、カーテンを開けることすら許されず、暗い場所で長時間働かされていたといいます。

さらに、社長は「兄弟」と呼ばせることを強要し、病気になっても病院に行くことを禁じていたとのこと。精神的な支配や暴言によって、従業員は常に過酷な労働を強いられていたようです。給料は年末に均等に分配され、社会保険にも加入させてもらえなかったといいます。

一方、現在もA-soulで働く人気漫画家は、当時のスタジオは「極貧状態」だったため、労働条件が悪かったのは仕方がなかったと反論しています。給料を出し合ってチームを維持し、強制労働はなかったと主張しています。

この告発は中国のSNSで拡散され、「人権侵害だ!」「奴隷工場だ!」といった批判が殺到しています。しかし、現従業員と元従業員の主張は食い違っており、真相解明には当局の調査を待つ必要があるという意見もあります。

中国では、従業員の自由を制限して強制労働をさせると、3年以下の懲役刑になる可能性があります。また、社会保険料を支払わない場合は、警告や罰金が科せられます。

A-soulの告発は、中国の漫画業界の闇を浮き彫りにするものであり、今後の動向が注目されます。現在はリモート型が主流の日本の漫画業界ですが、中国漫画業界のこの問題に、思うものがある作家やアシスタントの方も多いのではないでしょうか?

編集部: