機内食が不味い理由が科学的に判明 対策が日本食選ぶ、ヘッドフォンの理由

皆さん、飛行機で3万フィート(約9,144メートル)の高さを飛んでいるときに、「この機内食、なんか味が薄いな…」と思ったことはありませんか?それ、実はあなたの味覚の問題じゃなくて、飛行機が秘密裏に砂漠に変身しているからなんです!

え、飛行機が砂漠?と思われるかもしれませんが、実は機内の湿度はたったの約12%。これはカリフォルニア州のモハーヴェ砂漠の昼間の湿度(10%から30%)とほぼ同じなんです。つまり、あなたは空飛ぶ砂漠の中で食事をしているようなもの。

乾燥と高気圧のダブルパンチ!

この乾燥した空気のおかげで、私たちは知らぬ間に脱水状態に。鼻や喉の水分は全部持っていかれ、味覚や嗅覚はすっかり鈍くなります。『Food & Wine』誌も「味がしないのは空気のせい」と報じています。「なんか味気ないなぁ」と思ったら、それは空気があなたの味覚を裏切っているのです。

さらに追い打ちをかけるのが、機内の高い気圧と80デシベル以上のエンジン音。これらは味覚と嗅覚の大敵で、舌も鼻も効かなくなってしまいます。

塩分20%増し!?機内食の秘密

特に塩味や甘味は高い高度では弱く感じられます。そのため、機内食には通常よりも約20%多く塩が使われ、デザートにはさらに多くの砂糖が投入されています。「このスープ、しょっぱすぎない?」と思ったら、それはあなたの味覚を救うための特別仕様なんです。

ノイズキャンセリングヘッドフォンで味覚アップ?

オックスフォード大学の実験心理学者、チャールズ・スペンス氏によると、特定の環境や音が味覚に影響を与えるとのこと。彼は「ノイズキャンセリングヘッドフォンを使うと、機内での食事がちょっとマシになるよ」とアドバイスしています。ヘッドフォンを装着して食事をすると、「あれ、このチキン、意外とイケるじゃん?」と思うかもしれません。

究極のリアル体験!フラウンホーファー研究所の実験

2011年、ドイツのフラウンホーファー研究所が行った実験では、「機内食体験者」を狭い座席に座らせ、3万フィートの低気圧を再現した圧力室で試食させました。ルフトハンザ航空が委託したこの研究で、参加者は80デシベルのエンジン音に囲まれ、座席が乱気流を模擬して振動する中で食事をしました。まさに「究極のリアル体験」を提供したわけです。

この研究で分かったのは、苦味、酸味、辛味は機内でもしっかり感じられるということ。また、トマトジュース(ブラッディ・マリーなど)は味が失われにくい飲み物の一つ。だから機内でのトマトジュースは美味しく飲めるものの一つだと覚えておきましょう。

旨味パワーで機内食を楽しもう!

他のテストでも、高度の変化に影響されにくい味覚として「旨味」が挙げられています。旨味は日本料理の中心的な味で、醤油や味噌などにも多く含まれています。また旨味そのものである味の素のような化学調味料が入っている方が、機内食としては美味しく感じられると言えるでしょう。もし日本食が機内食にあれば「日本食万歳!」と、その美味しさに感謝できるかも。

スペンス氏は「飛行機の退屈さがなければ、最良の選択は常に地上で食べることだ」と言います。要するに、機内食は「暇つぶしのおやつ」くらいに考えるのが吉。

でも、それでも機内で美味しいものを食べたい!というあなた。そんなときは、スパイシーで塩味の強いもの、例えばメキシコ料理や日本食を選びましょう。辛さと塩分、もしくは旨味が強ければ、味覚も「おっ、これは!」と反応するはず。

スペンス氏は「旨味のあるもの、例えばパルメザンチーズ、キノコ、トマトなどを選び、飲み物にはトマトとウスターソースの二重の旨味があるブラッディ・マリーが良い」と説明しています。つまり、飛行機での食事を楽しむ秘訣は「旨味パワー」を活用すること。

次回のフライトでは、ヘッドフォンを装着し、旨味たっぷりの料理とブラッディ・マリーで乾杯してみては?もしかしたら、機内食の新たな魅力に気づくかもしれませんよ!

編集部: