「ちょっとくらいならバレないだろう…」そんな軽い気持ちで手を出してしまう万引き。しかし、その行為は犯罪であり、世界の小売業界は2017年に万引きにより推定340億ドルの売上を失い、これは総収益の約2%に相当。万引きは商品損失の最大の原因だと言われています。今回は、世界の万引きに関する意外な雑学を、解説していきます。
万引き犯の心理と行動パターン
声かけで万引き率が激減!?
店員に声をかけられると、万引き犯は犯行に及びにくくなるという興味深いデータがあります。ある調査によると、入店時にすぐに挨拶されると、万引きをする可能性が68%も低下するとのこと。店員の積極的な声かけは、防犯対策としても有効なのかもしれません。
万引きのゴールデンタイムは午後
万引きは、午後3時から4時の間にピークを迎える一方で、午前6時から7時の間は最も少ないというデータがあります。これは、店員が忙しく、監視の目が緩みやすい時間帯を狙っていると考えられます。
万引きされやすいのはどんな商品?
犯罪学者のロナルド・V・クラーク氏は、万引きされやすい商品は「CRAVED」(隠蔽可能、取り外し可能、入手可能、貴重、楽しく、使い捨て可能)の頭文字を持つものであると述べています。具体的には、小型の高価な商品、例えば、使い捨てカミソリ、電子機器、ビタミン剤、アルコール飲料、タバコなどが挙げられます。
万引きの動機は様々
万引きの動機は、経済的な理由だけでなく、心理社会的な要因も複雑に絡み合っています。仲間からのプレッシャー、スリルを求める気持ち、衝動的な行動、アルコールや薬物の影響、さらには過去の喪失体験を埋め合わせようとする無意識の行動などが、万引きに繋がる可能性があります。
万引き犯は男女比は同じくらい
かつては、万引き犯は女性が多いと考えられていましたが、最近のデータでは、男女比はほぼ同じか、男性の方が多いという結果が出ています。男性はバッグを使って万引きをする傾向があり、女性はベビーカーを使って万引きをする傾向があります。
貧乏人も金持ちも同じぐらい万引きする
また、万引き犯の平均年齢は10歳で初めて万引きをし、思春期にピークを迎える傾向があります。すべての人種の人々が同じように万引きをしており、貧しい人々の万引きは裕福な人々の万引きよりもわずかに多いだけで、貧困原因ではないようです。万引きは社会全体の問題と言えるでしょう。
万引きの歴史:処罰は死刑だったことも!?
万引きの歴史は古い
万引きの歴史は古く、最初の記録は16世紀のロンドンにまで遡ります。当時は「リフター」と呼ばれる男性グループが組織的に万引きを行っていました。
ショーウィンドウの登場で万引きが増加
17世紀後半、ロンドンの店主たちがショーウィンドウやガラスケースで商品を陳列するようになると、商品を手に取って見やすくなったため、万引きが急増したと言われています。
かつては死刑も
1699年、イギリスでは5シリング以上の商品を万引きすると死刑になるという「万引き法」が可決されました。しかし、18世紀になると啓蒙思想の影響で死刑への反対が高まり、1832年には万引きは非死刑罪となりました。
女性特有の病気?
19世紀初頭には、万引きは主に女性の行為だと考えられ、「クレプトマニア」(窃盗症)という精神疾患として扱われるようになりました。しかし、これは裕福な女性だけが許される言い訳であり、貧しい人々は同じ行為でも罰せられるという批判もありました。
世界の万引き事情:文化によって盗まれるものが違う!?
盗まれる商品は世界共通
万引きされる商品は、国や文化を超えて共通点が多いです。しかし、その国ならではの消費習慣や嗜好も反映されます。
イタリアでは高級食材、日本では漫画やゲーム
例えば、イタリアでは高級食材のサフランやパルミジャーノ・レッジャーノチーズ、スペインでは、ハモン・イベリコが頻繁に狙われる。フランスでは、アニス風味のリキュール・リカールが頻繁に盗まれ、日本では漫画やゲーム、ウイスキーなどがよく盗まれます。ノルウェーでは、包装されたチーズが最も頻繁に万引きされている商品であり、泥棒はそれをピザ屋やファーストフード店に密売しています。
厳しい罰則:イスラム圏では手切断も
イスラム法では手を切断 イスラム法(シャリーア)では、窃盗は「ハッド」(神の定めた刑罰)にあたり、手を切断する厳しい罰則が科されることがあります。サウジアラビアでは、実際に万引き犯の手が切断された事例も報告されています。
万引きは「身近な犯罪」だからこそ
万引きは、誰もが加害者にも被害者にもなりうる「身近な犯罪」です。軽い気持ちで手を出してしまう人もいるかもしれませんが、その行為は、小売店だけでなく、社会全体に大きな損失をもたらします。
万引き防止のために、私たち一人ひとりが意識を高め、正しい行動をとることが大切です。
出典:Wikipedia「Shoplifting」