厚生労働省が実施した「平成30年就労条件総合調査」の結果によれば、「退職金なし」の企業は約20%にものぼっている。退職金がないこと自体は違法ではなく、法律で義務化されているわけではない。しかし、退職金制度がない企業は人材が集まらない他、定着率も低くなっている。それも当然で働く側からすれば、自身の将来を考えるうえで非常にリスキーな企業に映るからだ。
だが、退職金制度の導入は体力のない中小企業にとって大きな負担であることも間違いない。一方で、中小企業でも退職金制度を導入しやすくなるのが中小企業退職金共済制度というものが存在し、そのプロモーション漫画である「教えて! 退田さん」が、中小企業関係者の間で話題となっている。
「教えて! 退田さん」は独立行政法人勤労者退職金共済機構が、中小企業退職金共済制度のプロモーション活動の一環として制作したもので、10月2日よりシリーズ第3弾TVCM・広告・ポスター等が展開されている。
作品内で退田さんが教えてくれる「中退共制度」とは、そもそも昭和34年に中小企業退職金共済法に基づき設けられた中小企業のための国の退職金制度。
この制度は、中小企業が単独では退職金制度を設けることが難しい状況を考慮してつくられたもので、中小企業の従業員の福祉の増進と雇用の安定、ひいては中小企業の振興と発展に寄与することを目的としており、国の退職金制度であるため安心・確実・有利で、管理も簡単といったメリットがある。
独立行政法人勤労者退職金共済機構 中小企業退職金共済事業本部(中退共本部)が運営しており、2023年5月現在、約37万9千企業(所)、約362万人の従業員が加入、運用金額は5兆3000億円にものぼる。
また掛金の一部を国が助成、掛金は非課税、掛金は口座振替で手間がかからないといった企業側のメリットがある一方、パートタイマーなどの短時間労働者や、家族従業員も入れるといった従業員側のメリットも大きくなっている。
漫画の内容は、事業主と税理士のやり取りをベースとしたオリジナルストーリーを通じて、自然な流れで「中退共制度」の理解を深めることが可能となっているので、実にわかりやすい。
動画のエンディングでは「中退共制度」に加入した会社を、高齢になり退職しキャラクターが、「あの会社に入ってよかった」と回想している通り、退職金は多くの人にとってとても重要なものだけに、中小企業関係者の方はぜひともチェックしてみて欲しい。