『できるかな』ノッポさん85歳でテレビCM初出演のわけ キットカットが取り組む海洋プラスチック問題に共感

ネスレ日本が販売するキットカットのテレビCMに、伝説のテレビ番組『できるかな』(NHK教育)のノッポさんとゴン太くん登場し、驚かされた人は多いだろう。ノッポさんこと高見のっぽさんは現在85歳、そして実はテレビCM出演ははじめて。なぜノッポさんがCMに出演したのか、あの“喋らない”ノッポさんがイベントに出演し、その理由を語ってくれた。

ノッポさんが共感したキットカットの取り組み

ノッポさんが出演したのは、11月6日に開催された「折り紙で、想いを伝えるクリスマス」メディア発表会。このイベントはネスレ日本が11月6日~12月25日まで「キットカット ショコラトリー」銀座本店内で開催するものだ。

ノッポさんが出演するキットカットの新CMで、紙パッケージとなった同商品の包装紙を使い、折り鶴を折ってメッセージを書き込む様子を観た人も多いはず。

今回のイベントでも、「キットカット ショコラトリー」銀座本店を訪れた来店者に、同じように紙パッケージで折り鶴を折って、大切な相手へのメッセージを書き込んでもらう。そして、その鶴を使ってツリーや店内をデコレートしていく、そんな趣旨のイベントだ。

プラスチックごみ問題解決へのアプローチと同時に、誰かに思いを届けるという、ネスレ日本らしい良企画。

登壇したネスレ日本のマーケティング部長・竹内雄二氏によれば、紙パッケージ化のプロジェクトを立ち上げた1年前頃は、海洋プラスチックごみ問題も認識されておらず、周囲からも「そんなことをする必要があるのか?」といった疑問の声があがっていた。だが海洋プラスチックごみ問題がメディアで大きく報じられるようになると、状況は一変。社内だけではなく社外からも賛同や協力してくれるようになったという。

2019年9月下旬出荷分で、主力製品である大袋タイプ5品の外袋がプラスチックから紙パッケージへと変更されたが、これで年間約380トンのプラスチック削減が見込めるそうだ。竹内氏によれば、キットカットは日本で一番売れているチョコレート菓子であり、つまり一番プラスチックゴミを出しているとも言える。それだけに紙パッケージ化することに使命感を持って取り組んできたという。

現在、紙パッケージでは外袋だけとなっているが、2022年までには中の小袋の包装も100%リサイクル可能、もしくはリユース可能な素材にするよう研究中とのこと。

さて、前置きが長くなってしまったが、これこそがノッポさんがわざわざCMに出演した理由であるのだ。

85歳のノッポさんが登場

竹内氏の後にはいよいよノッポさんが登場。御年85歳とは思えない軽快なステップを踏みながら舞台にあがった。伝説のスター登場にメディア取材陣たちも大興奮、仕事を忘れ子供に戻ったような顔で、ノッポさんを見ていたのが印象的だった。

ノッポさんは“いつも”のように紙パッケージを使って、またたく間に折り鶴を置く花形の台を完成し、司会役の女性に手渡した。その司会がゴン太くんは「今日は寝坊して来られなくなり」、かわりに、4分の1スケールのゴン太くんでの出演になったと説明。

するとノッポさんが突如、「あれはね、嘘つきなんですよ…」と口を開いた。喋らないはずのノッポさんのその声に取材陣たちからも大きなどよめきが。そして「あ…、しゃべっちゃった。どうも初めまして」と続けて口を開いた。

ノッポさんによれば、もともとおしゃべりで、このイベントでもはじめから喋りたかったという。ノッポさんは自身の似顔絵と「みんなに、やさしくね!」という言葉を書いた折り鶴をイベントに提供しており、そのメッセージの意味について語った。

「僕はおチビさんが好きで、そのおチビさんを育てた親御さんも好き。さらにその親御さんを育てたおじいちゃんおばあちゃんも好き。そういう人たちがたくさんいる世の中でね、何が嬉しいかっていうと、人が人に優しくしている姿を見るのが嬉しいんだよね」と、また「なにかに困った人がいた時に、ニコッと笑って『もっと元気出して』って言うのは大変でしょ。だけど僕は言えるの。そんな優しさが、世の中にもっと広がっていったら嬉しいな」と語った。

そんなノッポさんが心を痛めていたのが、海洋プラスチックごみ問題。「小さいイルカちゃんや、ウミガラスやウミガメなんかがね、プラスチックを胃の中に収めて死んでいくって報道がされる度に悲しくなる」という。それだけに今回CMのオファーが来た際には、『企業がこんなことをやるってよく言ったな』と思って、だから『やってもいいかな』って引き受けたんです」「こんな素敵な仕事をさせていただいて、ありがたいです」。

それまではCMの出演は「やりたくなかった」とのことで、今回ネスレ日本に共感し、はじめてのテレビCM出演となった。

ノッポさんとネスレ日本の竹内雄二氏。

そんなノッポさんの優しい思いや、ネスレ日本の取り組みが形となっている、「折り紙で、想いを伝えるクリスマス」イベントは12月25日までなので、ぜひとも足を運んでみてほしい。店内はクリスマスローズ型のペーパーツリー、天井や窓なども美しいペーパークラフトで飾り付けられており、その様子を見るだけでも楽しいはずだ。

編集部: