【定番解説】中国料理店で見かける甘酸っぱくて飲みやすいスイートなお酒『杏露酒(しんるちゅう)』とはどんなお酒か? 飲んで確認!

 

漢方的な独特の風味のせいか、老酒(ラオチュウ)など、微妙にクセが強く感じている人も多い中国酒。しかしその中にはとても飲みやすいものもある。それが甘酸っぱいアプリコットのお酒『杏露酒(しんるちゅう)』である。

 

中国料理店で中国酒然として並んでいる杏露酒。しかし中国発祥ではなく、日本生まれの中国酒!?

中国料理店に並ぶチャイナスタイルのお酒の数々。その中でも有名なのは紹興酒およびそれを長期熟成させた老酒だろう。お燗をして角砂糖を入れて飲むなどの独特のスタイルで味わうと、異国情緒は満点だが、日本人的にはやはり飲みにくいという人は多い。

他にもアルコール度数が強く、「ルパン三世」のキャラクターとしても採用された「白乾児(パイカル)」に代表される白酒(バイジュウ)もあるが、飲みにくさはやはり共通だ。

 

 

でもやはり中国料理店のひとときを楽しむために、中国酒で楽しみたいというのなら、日本人に好まれやすいのが、キンモクセイのお酒として知られる桂花陳酒と、アンズの甘酸っぱさでたまらなくスイートな味わいの『杏露酒(しんるちゅう)』がいい。どちらも甘いお酒とはなるが、ほぼ美味しく飲めるはずだ。

中でもアプリコット&ハニーのカクテル的味わいの『杏露酒(しんるちゅう)』は、女性に好まれるお酒の定番である。ところがこれ、実は中国発祥のものではなかったのだ。

昭和30年ごろの永昌源のラインナップ

さかのぼること50年前、日本の中国酒メーカーである永昌源が、”日本人に合う中国酒”として開発、1969年10月に発売したものだったのである。

1969年当時のパッケージイメージ

 

つまり日本生まれの中国酒という不思議な立ち位置のお酒なのだ。このアンズのフルーティーさを閉じ込めて、ハチミツで仕上げて生まれた果実を丸ごと漬け込んだ浸漬酒は50年の歴史の中で改良を重ねながら、中国料理店で確固たる地位を築き上げ、人気定番中国酒の座をマークしたのである。今ではシリーズとしてレモンやブルーベリーを使用したものも存在する。

 

 

度重なるリニューアルで美味しくなり続けた『杏露酒(しんるちゅう)』(50歳)と期間限定『杏露酒 はちみつあんず』を飲んでみた

今回は50歳を迎えた『杏露酒(しんるちゅう)』と、その派生商品である『杏露酒 はちみつあんず』を飲んで、改めてその美味しさを確認してみたいと思う。

 

 

『杏露酒(しんるちゅう)』

キリンビール・500ml・希望小売価格 税抜810円・発売中

 

度重なるリニューアルで進化し続ける『杏露酒(しんるちゅう)』。国産アンズを丸ごと漬け込んで、ハチミツ量を以前より増やし、完熟アンズの果肉を裏ごしして追加した強力なアンズ酒の決定版である。

確かにキャップをひねると、以前よりもフルーツとしてのアプリコットの新鮮な香りがふわっと広がる。一口飲めば甘い幸せが口いっぱいに広がって、雑味なくカラダに浸透していく感じ。これはもうフレッシュなフルーツをかじった時の喜びに近い爽やかな甘酸っぱさ。ロックで味わえば、きちんと冷やしたアンズの果肉の美味しさがしっかりと味わえる。これは美味しい。

食前酒はストレートかロックで。食中酒ではソーダ割りが合う!

確かに甘さがしっかりあって、お酒は辛口が基本という人の口には合わないとは思うが、普段からスイート系カクテルを嗜んでいる人なら、必ず気にいるはず。何も割らなくてもグイグイいけるほど飲みやすいが、アルコール度数は日本酒レベルの14%なので、注意したい。

 

 

『杏露酒 はちみつあんず』

キリンビール・500ml・希望小売価格 税抜980円・2019年8月27日数量限定発売

 

『杏露酒(しんるちゅう)』誕生50周年を記念して生まれた限定品。その美味しさにさらに磨きをかけたのが、この数量限定『杏露酒 はちみつあんず』である。

キリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所で作られているという

長野県産アンズを100%使用することでクオリティーアップ。口に含むと『杏露酒』より甘さを強く感じ、フレッシュさにさらに拍車がかかっている仕上がり。

杏露酒シリーズは果実をまるごと漬け込む「浸漬製法」を用いている

味も濃いので、ロックのほか、ソーダ割りなどでも美味しくいただける。さながらフルーツ系の高級スイーツを液体化したような極上の甘さ。そのあとふわっと来る酔いとともにかなり贅沢な体験ができる。少なくとも日頃からスイートな梅酒を愛好している人なら、喜ばない人はいないと思う。

入手は全国の酒類取扱店などで可能だ。

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清水 りょういち: