無糖ブラックの缶コーヒーは、太らないかもしれないが美味しくもないという印象があり、なかなか定着しにくかった。だが25年前に誕生したこの『UCC BLACK無糖 缶』は、ブラックならではのストイックな美味しさで、現在の無糖ブラックブームの元祖というべき存在だ。
おなじみ基本の無糖ブラック『UCC BLACK無糖 缶』がリニューアル!
コーヒー専業メーカーの意地ともいうべき無糖ブラック缶コーヒーの代名詞が、このUCC上島珈琲『UCC BLACK無糖 缶』(185g缶・希望小売価格 税抜115円・2019年3月25日発売)。レギュラーコーヒーを100%使用して、香料を使わないというストイックな姿勢で、1/4世紀の間、第一線に存在し続ける王道中の王道製品で、今回のリニューアルもまた実に質実剛健なバージョンアップをしているようだ。
アラビカ豆のレギュラーコーヒーを100%使用して、新たに進化させたのは「1ST抽出」というテクニック。もともとUCCが特許を持っている低温、中温、高温という3つの温度のコーヒーを使用した「3温度ナチュラルドリップ製法」を取っていたのが特徴だが、今回は低温〜中温の境目をなくしてじっくりと連続抽出して香りを約40%高めたという。
さらに低温のままで缶に充填することで香りを閉じ込めたんだとか。缶コーヒーの最大の難点は、その香り。缶製品は加熱殺菌が法律的に必要なのだが、その間に香りは飛びがち。そこをどうやってくぐり抜けるかがポイントで、無糖でありながら香料を追加している無糖ブラック製品が世の中に多いのはそのせい。では実際にどのように仕上がったのか、飲んでみたい。
コーヒーの一番搾りの美味しい部分を使用した「1ST抽出」方式ですっきり感を高めた今どきの進化!
プルタブを落とすと、地味ながら広がる美味しそうなコーヒー本来の香りがくすぐってくる。派手さはないが、だからこそ飽きない香り。
一口飲むと、今までとの違いは明らか。いわゆる美味しい水のようなみずみずしさとともに水出しコーヒー的な風味も感じつつ、ボディにふくらみがあり、実に美味しいコーヒー。スペシャルティコーヒー以降の美味しさを感じながらも、しっかりと高温抽出部分でのキリッとした味わいも共存しているのが見事だ。
正直、これが缶コーヒーというのに、驚いてしまった。以前よりは薄口に感じる人もいるかもしれないが、えぐみは逆になくなり、苦さも必要最低限。近年のコーヒー潮流をしっかり読みこんだ味の仕立てだと思う。
入手は全国の自販機、スーパー、コンビニエンスストアなどで可能だ。またちびだら飲みに最適な275gリキャップ缶や375gPETボトル製品も同時展開しているが味は変えているというので、飲み比べしてみるのも面白いと思う。